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2021年09月28日

高齢者に起こりやすい「低栄養」とは?

はじめに

体に必要なエネルギーが不足している「低栄養」の状態は、特に高齢者に多く、加齢に伴う症状の一環と考えられてしまい、本人や家族が気づかずに陥っていることがあります。ここでは、低栄養の状態とはどういったものなのか、どんなリスクがあるのか、どう予防できるのかを紹介していきます。

低栄養とはどういう状態?

私たちの体は、食べた物から得られる栄養素をエネルギーに変えて動いています。
そのエネルギーの摂取量や、筋肉、皮膚、内臓などの体をつくるたんぱく質やビタミンが慢性的に足りない状態を「低栄養」といいます。食べ物が溢れる時代に低栄養になるなんて思いもよらないかもしれませんが、食事を摂っていたとしても、食べる量や食べる物の種類によっては低栄養になってしまうのです。

特に高齢者はその傾向が高く、65歳以上の低栄養傾向の人は、男性12.4%、女性20.7%という調査結果が出ています。さらに85歳以上では、男性17.2%、女性27.9%となり、年齢を重ねるにつれて低栄養のリスクが高くなることがわかります。(厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」参照 https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf

その理由として、「胃や腸などの消化機能の低下」「噛む力や飲み込む力の衰え」「食への興味の薄れ」などから、食欲の低下や食事内容の偏りが挙げられます。体を動かす機会が少なくなって、おなかが減らないので食事量が減少したり、肥満を気にしてカロリーの高いものを控えたりすることも、高齢者の低栄養につながっているのです。特に肉・魚・卵・大豆などのたんぱく質をとる機会が少ない場合は、低栄養の状態が続く可能性が高くなります。

低栄養の症状と今後のリスク

低栄養になると筋肉が減り、立ったり歩いたりする日常的な活動に必要となる運動能力が低下します。それにより活動量が減少。動かないことでおなかが減らず食欲がわかないため、食事量が減り、低栄養の状態が慢性化してしまいます。
日々の生活の中で次のような変化が増えたら、低栄養に陥っていないか、かかりつけ医に相談してみましょう。

・食事を残すことが多くなった
・よくむせる
・疲れやすい
・風邪や傷が治りにくい
・転びやすくなった
・歩くスピードが遅くなったり、歩幅がせまくなった
・体重が減った

これらの症状に気づかず低栄養の状態が続くと、今後、以下のような影響も現れるかもしれません。

骨折

低栄養はさまざまな栄養が足りていない状態なので、骨をつくるためのカルシウムも不足しがち。加えて運動量が減ることで、骨の新陳代謝が落ちて骨の強度も弱くなります。わずかな衝撃で骨折してしまう骨粗しょう症になるリスクも高まります。

誤嚥性肺炎

細菌が唾液や食べ物などと一緒に、入ってはいけない気管に入り(誤嚥)、それにより生じた肺炎を誤嚥性肺炎といいます。食べ物を自然に食道へ送り込む「嚥下」の力が弱くなった高齢者に多い疾患です。本来誤嚥しても咳をしたり、免疫力があれば肺炎になるリスクは少ないのですが、低栄養により咳をして吐き出す筋力が落ちていたり、免疫力が低下している場合は肺炎を起こしやすくなります。

低たんぱく血症

食事から摂るたんぱく質が減ったことにより、血中のたんぱく質が非常に低くなる低たんぱく血症を発症する可能性もあります。おなかに水がたまる腹水や、いわゆるむくみと呼ばれる浮腫(ふしゅ)が主な症状です。

低血糖による意識障害

炭水化物摂取量が少なくなると、体内の血糖値が下がって「低血糖」を引き起こす可能性もあります。炭水化物は主に主食である米やパン、うどんなどの麺類に含まれている栄養素です。低血糖になるとめまいや疲労感、眠気、集中力の低下、元気が出ないなどの症状が現れます。

さらに低栄養状態が長い間続くと、「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」と呼ばれる身体機能低下の引き金にもなります。「フレイル」は心身が老い衰えて健康障害を起こしやすくなり、ストレスに対する力も低下した状態です。介護が必要になる前段階とも言われています。「サルコペニア」は、筋肉量・筋力がより減少して、身体機能が低下している状態です。「ロコモティブシンドローム」は運動器の機能が衰えて要介護や寝たきりになったり、そのリスクが高まったりする状態をいいます。

高齢者の低栄養を予防するためにできること

食生活の改善

まずは食事の面から低栄養を予防していきましょう。
体を動かすエネルギーになる主食に、筋肉のもとになる肉や魚、卵、豆腐などのたんぱく質をメインのおかずにして、ビタミン・ミネラルを摂れるサラダや温野菜、おひたしなどをプラスしましょう。骨をつくるカルシウムも、牛乳やヨーグルトといった乳製品や小魚などから摂るようにしたいですね。
パンだけ麺だけといった食事をなるべく減らせるように、朝ごはんに目玉焼きと牛乳をプラスしたり、トーストにチーズを乗せたり、煮込みうどんなどには肉と野菜、きのこ類を入れるのもいいでしょう。栄養素とあわせてカロリーを増やすことも考えてみてください。1回の食事をたくさん摂れない時は、1日3食にこだわらず回数を増やしたり、おやつの時間を設けたりしましょう。料理や食材の買い物が億劫な時は、宅配のお弁当を検討してみるのもいいでしょう。高齢者向けの栄養バランスの取れた宅配弁当もありますよ。

栄養補助食品を利用する

食欲がない時や、料理をする元気がない時は栄養補助食品が便利です。毎日の食事と合わせて利用してみてください。
例えば、プロテインが入ったお菓子などはたんぱく質を補給できます。プロテインパウダーも市販されていますので、みそ汁などに溶かして飲むのもいいでしょう。ビタミンなどの特定の栄養素が多く含まれるゼリーなどもあります。また大人用の粉ミルクには、カルシウムをはじめとしたさまざまな栄養素が含まれたものが市販されています。ヨーグルトやコーヒーなどに加えて飲むのもいいでしょう。

運動をする

運動をすることで食欲が出てきます。歩くことに支障のない人はウォーキングを1日5,000歩めざして始めましょう。椅子に座ったままの足上げ運動なども、テレビを見ながら行いたいですね。すでに低栄養の人が激しい運動をすると、さらに低栄養になってしまう可能性がありますので、医師と相談しながら進めましょう。

咀嚼、嚥下について相談する

食事をする時にむせることが多い人は医師や歯科医師に相談してみましょう。口腔機能低下症の検査を受けると、誤嚥性肺炎のリスクを調べることができます。入れ歯の人は歯科医師に相談してみるのもいいでしょう。噛む機能が回復して食事がしやすくなる場合もあります。
また、食事や飲み物を摂取しにくい時には「とろみ」をつけて食べやすくするのもいいでしょう。山芋などの食材でとろみをつけることもできますが、パウダー状のものを溶かして使うとろみ剤も市販されています。介護食を扱っている薬局などに相談してみましょう。

BMIを計算して変化に気づきやすくする

低栄養になると体重が減少します。BMIという体重と身長から算出される肥満度を示す体格指数を計算して、変化に気づきやすくしておきましょう。
BMIは、「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」で求めることができます。60歳代は20.0~24.9、70歳以上は21.5~24.9をめざしましょう。

高齢者の中でも、高齢夫婦のみの世帯や高齢者単独世帯は低栄養状態になりやすいと言われています。交通手段が少なく頻繁に買い物に行けなかったり、膝や腰を痛めて料理が億劫になり簡単な食事ですませたりすることから栄養が偏りがちに。まずは、できるところから普段の生活を見直してみてください。今は元気に過ごせている方も、今後に備えて対策をして、低栄養を予防しましょう。

おわりに

食事の楽しさが減ったことがきっかけで低栄養になる人もいます。宅配のお弁当や、いつもと違う食事内容にするなど、食べる楽しさを見つけるのも低栄養を防ぐことに繋がるかもしれません。持病のある人は食事内容の改善や運動方法を、医師と相談しながら進めましょう。低栄養のリスクを改善や対策して、アクティブに動ける高齢者をめざしていきたいですね。

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