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2021年07月01日

もし親の介護が必要になったら?介護サービスの仕組みと利用方法

在宅介護を行うための準備・介護用品はこちら

はじめに

元気だと思っていた親も高齢者と呼ばれる年齢になって、何気ない仕草に老いを感じるようになると、今後の介護のことが頭をよぎります。ここでは実際介護が必要になった時に、家族は何をすればいいのか紹介していきます。

介護が必要になったらまず行うこと

当事者にならないと実感がわかない介護のこと。流れを知っておくといざという時の心構えができるのではないでしょうか。親の介護が必要になったらまずやることを、順を追って説明します。

1.地域包括支援センターに連絡

各地域には介護について広く相談ができる「地域包括支援センター」という機関があります。

保健師や看護師、社会福祉士、ケアマネージャーといった資格を持つ職員が中心となって、高齢者とその介護を行う家族に対して総合的な相談・支援を行います。何を聞いたらいいかわからないという状態でも、まず連絡を取ってみましょう。
もし親が遠方に住んでいてそこでの介護を希望する場合は、親の住まいに近い地域包括支援センターに連絡します。管轄の地域包括支援センターがわからない場合は、市役所や区役所の「介護保険課」や「高齢者福祉課」などに連絡して聞きましょう。

2.主治医に相談

介護が必要になることを親の主治医に相談しておきましょう。
後述する要介護認定の申請には主治医が書く「主治医の意見書」が必要となり、申請書に医師名や病院名を書く欄があります。親の現在の状況を理解しているかかりつけ医か、介護のきっかけとなるケガや病気を診察した担当医に話をしておくといいでしょう。

「主治医の意見書」は市区町村が直接医師に依頼するので、親本人や家族が依頼する必要はありません。

3.要介護認定を申請する

入浴補助や訪問看護などに介護保険が適用される「介護サービス」があります。利用するには「要介護認定」の申請をして、どの程度の介護レベルなのかを専門家に判定してもらい、要介護認定を受けなくてはなりません。

申請に必要なものは、申請書、介護保険の被保険者証、65歳以下の場合は健康保険の保険証です。マイナンバーを記入するため、マイナンバーがわかるものも必要です。各市区町村の介護保険課などに申請しますが、申請代行を地域包括支援センターに頼むこともできます。入院している場合は、病院のソーシャルワーカーに申請手続きを進めてもらうことも可能です。

4.要介護認定を受けて、ケアプランを作成

要介護認定は前述した「主治医の意見書」と、ケアマネージャーなどの調査員が親の自宅に訪問して心身の状態や家庭環境を確認した「認定調査」の結果をふまえ、専門家が審査をして決まります。

介護認定の結果は約30日後に通知されます。介護に緊急を要する場合には、結果を待たずに介護サービスを受けることもできるので、申請時に相談しておきましょう。
介護認定の結果が出たら、介護サービスを利用するためのケアプラン(介護サービス計画)を作成します。ケアプランは本人または家族が作成することも可能ですが、専門知識や地域の介護施設の状況などの情報が必要なため、介護の専門職であるケアマネージャーに頼むのが一般的です。

介護認定には大きく分けて「要支援」と「要介護」があり、「要支援」認定が出た場合は地域包括支援センターのケアマネージャーや職員が担います。「要介護」が出た場合は「居宅介護支援事業所」のケアマネージャーが担当することになります。介護付き有料老人ホームなどに入所する場合は、その施設に所属するケアマネージャーが担当します。
ケアマネージャーと話し合い、ケアプランを作成して利用する介護サービスを決めていきましょう。

5.介護サービスを利用する

作成されたケアプランに問題がなければ、ケアプランに記載された介護サービスを提供する事業者と契約をします。サービスごとにさまざまな事業者がいますが、ケアマネージャーが連絡を取り、介護サービスが受けられるように進めてくれます。

要支援・要介護とは

介護サービスを受けるにあたり、どのサービスをどれくらい受けられるのか目安になるのが「要支援」「要介護」という要介護区分とそれぞれの要介護度です。

要支援は、日常生活はほぼ自分で行うことができるけれど、多少の支援が必要な状態の人が当てはまります。要支援は1と2があり、2のほうがより介助を必要とする状態です。
要介護は要支援よりも介護の手を必要とする状態で、日常生活の基本動作が自分では困難な人が当てはまります。1~5までの要介護度に分けられ、5が一番重く、身体の介助のほかに認知症などの症状があり意思疎通が難しい場合に判定されます。
同じ要介護の区分でも、1~5の要介護度によって利用できる介護サービスや利用できる回数が異なります。

もし介護をしていて、今の介護サービスでは負担だったり、親の状態に変化を感じたりした時は、介護区分変更の申請ができます。通常更新は12ヵ月や24ヵ月ですが、申請するとその期間に関係なく介護区分の判定が行われます。

在宅介護する時に利用できる介護サービス

実際、自宅での介護を行う時に利用できる介護サービスはどのようなものがあるのでしょうか?

自宅へ介護専門職に来てもらい利用できるサービス

・訪問介護
ホームヘルパーが自宅に訪問して、さまざまな生活援助を行います。食事や排せつ、入浴など日常生活をする上での介護や、掃除や洗濯などもサービスに含まれます。

・訪問入浴介護
訪問介護の入浴介助は自宅の浴槽を利用しますが、訪問入浴介護では介護専用浴槽を運び込み、入浴サービスを行います。

・訪問看護
看護師や保健師を中心に医療従事者が自宅を訪問。医師の指示のもと、食事指導や症状の観察、口腔ケア、床ずれの予防や処置といったさまざまな療養上の世話や診療の補助などを行います。

・訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問。寝たきりにならないようにベッドからの離床促進や、歩行などの訓練といった日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。

・居宅療養管理指導
医師・歯科医師、薬剤師、栄養士などが自宅を訪問し、医学的な健康管理や薬の管理、指導、助言をするサービスです。持病のある人やリハビリテーションが必要な人が受けられます。

日帰りで施設などに通って介護を受けるサービス

・デイサービス(通所介護)
日帰りで施設に通い、日常生活の介護や機能回復のための訓練・レクリエーションなどを行います。介護を受ける本人の気分転換にもなり、同居で介護する家族の休息にもなるサービスです。

・デイケア(通所リハビリテーション)
介護老人保健施設、病院、診療所などに日帰りで通い、リハビリテーションを受けます。医師から利用を認められた人が受けられるサービスで、デイサービスに比べて医学的ケアと機能回復訓練が強化されています。

一時的に宿泊して介護を受けるサービス

・ショートステイ(短期入所生活介護)
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに短期間入所し、入浴、食事、排せつなどの日常生活上の介護や機能訓練を受けます。

・医療型ショートステイ(短期入所療養介護)
介護療養型の医療施設に短期間入所して、病気の診断や治療などの医療、日常生活上の介護、機能訓練を受けるサービスです。通常のショートステイとの違いは医療的ケアの側面が強いこと。スタッフ内の看護師の割合も多くなっています。


その他、夜間対応型訪問介護や認知症対応型の介護など、その地域に住む住民だけが利用できる「地域密着型サービス」というものもあります。

在宅介護を行わない場合は、介護施設で介護サービスを受けることも可能です。
要介護以上の人が利用できる「介護保険施設」には特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院(介護療養型医療施設)の3種類があります。
特別養護老人ホームは「要介護3~5」に認定された人が対象で、長期間滞在ができ、終身利用を前提としています。介護老人保健施設は「要介護1~5」に認定された人を対象とし、主に病院で治療を終えた後の在宅復帰をめざすための施設です。そのため、入所期間を原則3ケ月としています。介護医療院は2018年4月から新設された施設で、2017年に廃止が決定した「介護療養型医療施設」の主な転換先となっています。医療ケアを必要とする特定疾患のある「要介護1~5」の人が対象の施設です。

介護保険施設は費用が安いことから人気があり、すぐに入居できない場合も。また要介護区分によっては入所できない場合があるため、民間の施設を検討する必要も出てきます。
民間施設には介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、グループホームなどさまざまあり、サービス内容も多様に展開しています。

親の希望や経済状況、介護レベル、家族がどこまで介護に介入できるかなどソーシャルワーカーを含めて話し合い、在宅介護か介護施設に入居するのか決めていきましょう。

在宅介護を行うための準備

在宅で介護を行うことになったら何を用意したらいいのか迷いますよね。介護保険で受けられる支援や、用意しておくと助かる介護用品などを紹介します。

介護ベッドなど福祉用具のレンタル・購入

介護用ベッドや車椅子、床ずれ防止の用具、歩行器など、在宅での生活を支える用具を介護保険が適用された価格でレンタルできます。便座の補助用具など他人と共有できない介護用品は割引で購入ができます。これらのレンタル・購入もケアマネージャーと作成したケアプランに則って決まります。

介護のためのリフォーム費用の支給

在宅で介護を行う際に必要となってくる手すりの取り付けや段差解消など、住宅改修に対しての費用の何割かが支給されるサービスもあります。限度額があり、可能な工事の種類も決まっています。工事前に必ず申請が必要です。

それら介護サービスでまかなえるものと合わせて、長い時間ベッドにいることになる場合はテレビやラジオがあると気分転換になります。介護が必要な親と部屋が離れている時は、呼び出し機器や見守りカメラなどのサポートグッズも検討してみましょう。

あると助かる介護用品

脱ぎ着させやすい服や靴、紙おむつ、尿取りパット、防水シーツなどを用意しておくといいでしょう。認知症ではないしトイレは大丈夫と思っていても、夜間などに自力でトイレに行けず、家族の介助が間に合わない場合もあるので、おむつや防水シーツがあると安心です。

介護をする部屋にポータブルトイレを置くとニオイが気になる場合も。ニオイを抑えられるポータブルトイレ用の消臭液も販売されています。
また、高齢になると唾液の分泌が減り、飲み込む力も弱くなるため、食事や水分補給の際にむせてしまうことがあります。食べ物や飲み物に簡単にとろみをつけられる介護向け食品もあるので、医師や栄養士に相談をして取り入れてみましょう。

おむつの助成サービス

おむつは自治体の助成サービスの対象になっていることがあります。介護を受ける親が所属する自治体では、どのような支援があるか調べておくといいでしょう。

おわりに

まだまだ大丈夫だと思っていた親も病気やケガをすると気落ちして、介護について話し合いたくても難しくなる場合があります。元気なうちに親の希望を聞いたり、家族間でケアマネージャーからの連絡窓口を誰にするか決めておくのもいいでしょう。地域のサポートを使って、一人の負担が重くならないようにしていきましょう。

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