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2021年04月22日

自律神経を整えるには腸の働きが大切

はじめに

体の消化器官の一つである腸は、「自律神経を整える」ための重要な場所といわれています。ここではその仕組みや、腸と自律神経のバランスを良好にする方法を学んでいきましょう。

腸と自律神経の関係

緊張したり不安なことがあるとき、下痢や便秘になったことはありませんか?そんなお腹の不調は、腸と自律神経が深い関係にあるために起こると考えられています。一体どういう仕組みなのか、まずは腸と自律神経がどういう働きをしているのか確認してみましょう。

自律神経の働き

自律神経は、自分の意思とは無関係に、呼吸器官や消化器官といったあらゆる内臓器官、血管などを調整する神経です。
体中に行き渡り24時間休むことなく働く自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、昼間は「交感神経」、夜は「副交感神経」が活発になるというリズムを持っています。主に交感神経が優位な時間帯は体が活動的になり、副交感神経が優位な時は心身がリラックスした状態になります。自律神経が整っている場合はこの切り替えがスムーズに行えますが、自律神経のバランスが乱れるとコントロールがうまくいかなくなり、様々な不調を感じるようになります。

下痢や便秘が続くのに病院では原因が見つからなかったり、病院に行くほどではなくてもやる気が出なかったり、気分が落ち込んだりするのも、この自律神経の乱れが原因の一つと考えられます。

腸の働き

腸は食べ物を消化して栄養を吸収する器官です。栄養を吸収した後、便を作って体外へ排出する働きも担っています。
そのため、腸内環境が乱れると必要な栄養素が吸収できずに肌荒れが起きたり、脂肪燃焼に必要な栄養素が不足して代謝が悪くなり、浮腫み、肥満といった、様々な不調が出てくることがあります。また、腸が正常に動いているときは、「ぜんどう運動」という腸が収縮する運動で排泄を促しますが、この「ぜんどう運動」がスムーズにできなくなると便秘や下痢を引き起こします。

腸は「第二の脳」と言われることもあるほど脳に次いで多くの神経細胞が集まっている器官で、その働きは自律神経によって大きく左右されます。

腸内環境が良くなると自律神経も整うの?

前項で挙げた排便を促す腸のぜんどう運動は、「交感神経」が優位な時には停滞し、「副交感神経」が優位になると活発になります。緊張やストレスなどで交感神経が高まるなどして自律神経のバランスが乱れると、ぜんどう運動のバランスも乱れて、腸の働きが低下してしまうのです。そうすると便秘など腸の不調が起こります。

逆に便秘や下痢などが解消されて腸内環境がよくなると、副交感神経の働きがよくなって自律神経が整うことも近年の研究でわかってきました。
便秘や下痢に対する不安や腹部の不快感がストレスにつながり、ストレスから交感神経が高まって、自律神経のバランスが乱れてしまうこともあります。便秘や下痢を改善して、そのストレスをなくすことも自律神経を整える方法の一つです。

自律神経と腸内環境は、自律神経が腸内環境に影響を与え、腸内環境が自律神経を整える決め手になる、そんな相互作用の関係にあると言えます。

腸と自律神経をバランスよく整える方法

では実際、どのように双方を整えていけばいいのでしょうか。交感神経が優位になっていく朝から、副交感神経へと切り替わっていく夜までの過ごし方を紹介していきます。

起きたら水を一杯、朝食を食べてスタート

起きたらまずコップ一杯の水を飲みましょう。一気飲みしやすいように常温、または少し温めた白湯がいいでしょう。一気に飲むことで、胃と結腸に反射を起こして、腸に刺激を与えます。
起きたばかりはまだ副交感神経が優位になっています。交感神経に切り替わる前に排便を促しておきます。便意を起こすためにも朝食は必ず食べるようにしましょう。

昼ご飯はビタミンやミネラル不足に注意

外食やインスタント食品ではビタミンやミネラルが不足しがち。お弁当を持参したり、野菜の摂れる定食を選んだり、ビタミンやミネラルを積極的に摂るようにしましょう。合わせて食物繊維や乳酸菌なども意識して摂ると、腸内環境が整えられます。

仮眠が取れる人は適度に昼寝

やる気のなさやだるさを感じた時は、適度な仮眠もおすすめです。夜の寝つきが悪くならないように15~30分程度がいいでしょう。昼寝をすると副交感神経が働いてリラックスした状態になり、自律神経を整えることにもつながります。

軽い運動を心がける

帰宅時に歩く時間を増やしたり、軽い運動ができるヨガなどのジムに通ったり、体を動かす時間を設けましょう。特に夕方以降に軽い運動をすると、よい眠りにつながるセロトニンという神経物質が分泌されます。質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整える大切な方法です。また運動はストレス発散にもなり、ストレッチなどは腸の動きを活発にさせる手助けになります。

夕飯は軽めに、寝る3時間以上前に

夕飯は野菜中心のメニューを軽めに取りましょう。消化にあてられるように、寝る3時間前には食べ終わっている時間が理想です。
食べ終えたら副交感神経への切り替えが行えるように、リラックスして過ごしましょう。夜のリラックスした時間が翌朝のスムーズな排便のカギになります。

おわりに

自律神経を整えるにあたって、「腸」はとても重要な存在です。
病院に行っても「ストレス」で片づけられてしまう体調不良や、なんとなく続くやる気のなさやだるさの改善に、腸内環境を整えることを試してみてはいかがでしょうか。改善しないからとストレスを感じないように気楽に取り組んでくださいね。

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