2016年09月13日
人間の体内には無数の神経があります。その中で、内臓の働きなどを調整してくれるのが「自律神経」です。自律神経が乱れると心や体にさまざまな支障が出ます。どんな症状が見られるのかを知り、予防を心掛けましょう。
自律神経は、内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするために、みなさんの意思とは関係なく24時間働き続けています。昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。
2種類の神経がどう作用するかによって、心や体の調子は変わります。交感神経が強く働くと、血圧が上がり、瞳孔が拡大して、心と体が興奮状態になります。一方、副交感神経が優位に働けば、血圧が下がり心拍数は減少。瞳孔が収縮し、心と体が休んでいる状態になります。
心と体の状態を活発にする交感神経と、心と体を休ませる副交感神経がうまくバランスを取りながら働いているおかげで、私たちの健康は保たれていますが、このバランスが崩れると心身に支障をきたします。これが、自立神経の乱れた状態です。人間関係の悩みや仕事でのプレッシャーによる精神的なストレス、過労による肉体疲労の他、昼夜が逆転したような不規則な生活などが、自立神経の乱れの原因になるといわれています。
「自律神経失調症」という言葉を聞いたことはありますか?自律神経の乱れから、不安や緊張感が高まり、吐き気や多汗、全身のだるさ、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠など、さまざまな症状が見られる病気です。これらの症状は人によって大きく異なります。
自律神経がバランスを崩すと、臓器にも悪影響を及ぼします。胃酸が過剰に分泌され、胃の痛みや胸やけを感じる「神経性胃炎」、腸のぜん動運動に異常が生じて腹痛を伴う下痢や便秘が起こる「過敏性腸症候群」がこれに当たります。また、突然浅く速い呼吸を繰り返す「過呼吸症候群」になると、息苦しさの他、めまいや手足のしびれが現れます。
自律神経が乱れないようにするための方法をいくつかご紹介します。ストレスを感じることが多い現代社会では、交感神経が過剰に働いている場合があるので、心を鎮める副交感神経が優位に働くよう、意識的にリラックスできる方法を取ることが大切です。例えば、気持ちが穏やかになる音楽を聞いたり、ぬるめの湯につかったりしてみてはいかがでしょうか?
また、気長に考える習慣を身に付け、普段から物事を楽観的に捉えることで、つらい人間関係や仕事によるストレスを和らげることが期待できます。
ライフスタイルを見直すこともおすすめです。私たちの生活は、食事、睡眠、休養、労働(勉強)、運動の5つの要素で構成されており、これらが毎日規則正しく行われていれば、生体リズムの調子が整うといわれています。忙しくても、できるだけ一定の時間に食事を取り、睡眠時間をたっぷり確保するよう心掛けましょう。
睡眠の質を良くする食べ物には、眠りを促す成分トリプトファンを含む乳製品やコメ、ごま、バナナの他、副交感神経の働きを高めるマグネシウムを含む豆腐やナッツ類などがあります。
ストレスの緩和や、自律神経のコントロールに効果が期待できる成分は、他にもいろいろあります。例えば、カルシウムは神経の伝達に重要な役割を果たす成分。神経細胞の興奮を抑える働きがあり、不足すると怒りっぽくなると言われています。牛乳や小松菜などカルシウムを含んだ食品を取りましょう。
また、ビタミンCを含むパプリカやレモンもストレス対策におすすめです。自律神経のコントロールには、ビタミンAを含む鶏レバーやうなぎ、ビタミンEを含むアーモンドやオリーブオイルなどが効果的です。
私たちが生活する上で、やっかいな人間関係やこなさなければならない仕事からくるさまざまなストレスは避けては通れません。
ストレスを和らげて自律神経のバランスを整えるためには、心身を興奮状態にする交感神経の働きを弱め、体を休ませ、気持ちを落ち着かせる副交感神経の作用を強くすることが大切です。
お気に入りのリラックス方法を見つけるなどして、快適な毎日を送ることができればいいですね。
不眠・イライラ
昼夜のリズムが崩れやすかったり精神的ストレスなどにより、不眠や神経症を抱えている人は少なくありません。睡眠補助剤としてドリエルや漢方薬などが発売されていますが、これらは環境の変化やストレスに一時的に対応するものです。入浴でしっかり体を温めるなど、生活習慣の改善も並行して実施しましょう。
季節性うつ病
夏が終わり秋になり、過ごしやすくなるとともに日が短くなりだす頃。
なんとなく鬱々として気分が晴れない、落ち込むような感覚になるという方がいます。
これは決して気のせいなどではなく、季節性感情障害(SAD)という病気からくる症状です。
季節の変わり目、特に日照時間が短くなる秋や冬に多く見られることから「季節性うつ」「冬季うつ」「ウインター・ブルー」など様々な呼ばれ方があります。(ここでは「季節性うつ病」で統一します)
季節性うつ病はその名の通り季節によって症状が出る「周期性」と言えるものがあります。
国や地域によって特徴がありますが、多くの国においては日照時間が短くなる10月~11月に発症し、日照時間が長くなる3月頃に回復する、といった具合で、これを毎年繰り返します。
その症状の度合いによっては抗うつ剤の使用などの対応が必要なケースもありますが、基本的には生活習慣の注意によって症状の改善・軽減を図ることができます。
しかし忙しい現代において生活習慣を変えるというのは簡単なことではありません。
そこで季節性うつ病の治療の一環として、冷え性などの二次的な症状に漢方薬を使ってみるということから始めるのはいかがでしょうか。
熱中症を予防したい
熱中症とは、高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウム)などのバランスが崩れたり、体内の調整機能がうまく働かないことによる障害のことをいいます。近年、家庭で発生する高齢者の熱中症が増えており、高齢者では住宅での発生が半数を超えています。熱中症を予防するには「水分補給」と「暑さを避けること」が大切です。一度に摂取するのではなく、こまめな水分・塩分(ナトリウムなどのミネラル)の補給を心がけましょう。
花粉症をラクにしたい
花粉症の代表的な原因としてスギ花粉があげられます。ここ数年は少ない年でも人間の感受性の上限ほどの量が飛散しており、量が多い少ないというのは症状の重さとは関係なくなってきています。
花粉症は早期からの準備によってその症状をかなり軽減することができます。症状が出る前からの準備として、内服・点眼・点鼻薬を1月下旬から始めておくと効果的と言われています。症状が出始めたらお薬は継続しつつ、マスクやゴーグルなどで物理的に花粉の侵入を防ぎましょう。
虫よけを効果的に使いたい
気温が高くなると増えてくる、不快な害虫たち。蚊に刺されると強烈なかゆみと腫れに襲われますが、それだけにとどまらず、病原体を運んできてしまうことがあります。近年、そういった事例も増えており、その被害も無視できなくなってきたため、効果の高い虫よけの開発が急ピッチで進められてきました。2017年もマダニによって媒介される『ダニ媒介脳炎』によって死者が出ています。虫よけをうまく活用し、自分自身を害虫から守りましょう。
虫よけには様々なタイプがありますが、ムラなく塗り広げること、こまめに塗りなおすことが重要なポイントです。
衣替えのコツが知りたい
日本の四季に合わせるとそれぞれの季節に合った衣類を長期間保管する必要があり、衣替えというタイミングがやってきます。大切な衣類を長く愛用するためには長期保管中の虫食いや湿気対策など、しっかりとお手入れをすることが大切です。衣替えコツは、晴れて空気が乾燥した日に行うこと。湿気が多い日に行うと、カビの原因になることがあります。保管時のコツとして防虫剤の配置があります。防虫剤の成分は空気より重いので、上から下に広がることに留意して配置しましょう。
タバコをやめたい
パッチとガムはタバコの代わりにニコチンを摂取することにより禁断症状を抑えて禁煙を補助します。禁煙開始時の1日のタバコの本数が少ない場合はガムのほうが禁煙に成功しやすいと言われています。ニコチンを補充するため、ガムやパッチを使用している間はタバコを吸うことはできません。
市販のニコチン製剤を使う以外にも、健康保険の適用を受けることができる禁煙外来を使うこともできます。こちらは医師の指導・管理の下で内服薬なども使用してニコチン依存症を治療します。禁煙外来による治療はパッチやガムなどのニコチン置換療法よりも禁煙成功率が高く、どうしても禁煙に成功しない場合は医療機関で相談するようにしましょう。
また、タバコを吸うことでかなりのビタミンCが破壊され、皮ふのシミやシワが増え肌色を悪くします。
健康診断の数値が気になる
現在の身体の状態を把握し、生活習慣病の予防や早期発見のために、毎年の健康診断は欠かせません。
生活習慣病は病状が進行して初めて症状がでるものがほとんどですので、定期的な検査によって自身の身体変化を認識し、予防する必要があります。早期であれば、偏った食事や運動不足などのライフスタイルを改善することで、病状が軽快する場合があります。
検査数値をそのままにし、病状の悪化によって医師による治療が必要になってしまう前に、自分自身で気になる数値をコントロールしましょう。
入浴剤を選びたい
発汗作用のある入浴剤やリラクゼーション効果の高いアロマオイル配合タイプなど、心身ともに1日の疲れにおすすめの入浴剤をチョイス!
長時間入浴すると皮脂がはがれ落ちて皮膚のバリア機能が低下してしまいます。ぬるめのお湯で10~20分程度の入浴がおすすめです。
野菜不足が気になる
厚生労働省が提唱する「健康日本21」では、野菜は1日に350g以上とることを理想としています。野菜を摂るように意識していても、目標量を摂取することは難しく、慢性的に野菜不足の方が増えているのが現状です。野菜が足りていないと、ビタミンやミネラル、食物繊維の不足により体調不良や免疫力低下、生活習慣病を招くことがあります。この特集では栄養不足を補う、栄養素が豊富な健康食品を紹介します。足りない栄養素はこれらによって多少補うことが可能ですが、野菜を摂らなくていいわけではありません。できるだけ普段の食事から野菜の栄養素、食物繊維などを摂れるように野菜中心の生活を心がけましょう。
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