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2022年02月28日

健康診断で問題なくても貧血?気づきにくい「鉄不足」

はじめに

なんだか疲れやすい、イライラする、だるさが続く…理由はわからないけれど体に起こる不調は、貧血によるものかもしれません。実は、一般的な健康診断の血液検査では貧血と診断されないことがあります。では、どうやって気づいて、対策をとっていけばいいのでしょうか。このページでは、見落とされがちな「鉄不足」に注目して、貧血の症状、原因、改善する方法を紹介していきます。

立ちくらみとはちょっと違う「貧血」とは?

貧血とはどういう状態?

血液の中には、血流に乗って酸素を体のすみずみまで運ぶ「ヘモグロビン」という物質があります。このヘモグロビンの濃度が低下した状態を、貧血といいます。それにより、酸素を十分に運搬できなくなり、体にさまざまな不調が起こるのです。ヘモグロビンが減少する原因はいくつかありますが、最も多いのは、ヘモグロビンの材料になる「鉄」が足りていない鉄不足によるものです。鉄不足によって起こる貧血を「鉄欠乏性貧血」といい、貧血の方の多くが鉄欠乏性貧血に当てはまります。

立った時にふらっとする立ちくらみとの違い

急に立ち上がった時にふらっとする立ちくらみを、貧血の症状だと思っている方も多いのではないでしょうか。この立ちくらみは、主に自律神経の乱れなどによって血圧をうまく調整できず、一時的に血圧が低下する「起立性低血圧」の症状の一つです。ヘモグロビンの減少から起こる貧血とはまた違った病態です。

鉄欠乏性貧血の症状

では、「鉄欠乏性貧血」だとどのような症状が現れるのでしょうか。
中には無症状の方もいますが、体の中の酸素や鉄が不足することによって、以下のような症状が現れるケースがあります。

・疲れやすい…筋肉の酸素が足りなくなると、疲労感や倦怠感を感じやすくなります。
・動悸、息切れ…不足した酸素を補おうと、呼吸が早くなり、動悸を感じることもあります。
・爪の変化…体内の鉄が減ることで爪が弱くなります。爪の先が反る「スプーンネイル」も貧血症状の一つです。
・蒼白…頬の血色はヘモグロビンの色素によるものなので、貧血になると顔が青白くなります。
・氷を食べたくなる…脳が酸素不足になることによって満腹中枢障害や体温調節障害が起こり、異食症になることも。氷をがりがりと大量に食べる「氷食症」も貧血症状の一つと考えられています。

貧血になる原因

鉄欠乏性貧血になる原因は主に3つあります。

1つ目は鉄の摂取不足。ダイエットや偏った食生活で、食事から摂取する鉄分が不足することによって起こります。
2つ目は、体の中で使う鉄需要の増加。体が成長する思春期や、赤ちゃんに栄養を与える妊娠・授乳期の女性は、摂取する鉄分の量よりも消費量が多くなることで、鉄欠乏性貧血になる可能性が高くなります。
3つ目は鉄の喪失。生理中をはじめ、体から血液が出ていくことで貧血を起こしやすくなります。婦人科系の疾患のほか、痔や消化管から出血する胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん、膵臓がんなども貧血を併発しやすい病気です。

女性がなりやすいイメージを持っている方も多いと思いますが、男性も食生活の乱れや消化器疾患などをきっかけに貧血になるケースもあります。

見落とされやすい「鉄不足」

血液中のヘモグロビンの濃度の数値は、市民健診や区民健診などの一般的な健康診断にも組み込まれている血液検査で計ることができます。しかし、このヘモグロビン値が問題ないから大丈夫…とは言い切れないのです。

体の中の鉄は、60%~70%は血中のヘモグロビンに含まれますが、残りは肝臓や脾臓、骨髄などに貯蓄されています。これを「貯蔵鉄」といい、ヘモグロビンが不足すると貯蔵鉄を使って補おうとします。そのため、ヘモグロビンの値が正常でも、貯蔵鉄が不足している状態になっていることがあるのです。貯蔵鉄が不足している状態は、一般的な血液検査では見落とされやすく、「かくれ貧血」とも呼ばれています。

貯蔵鉄の不足を知るには「フェリチン」の検査

貯蔵鉄の不足を把握するためには、血液中の「フェリチン」というタンパクの値をチェックすることが有用とされています。
また、体の中で鉄不足が起こる場合、ヘモグロビンの減少の前に、フェリチンが減少します。フェリチンを検査することで、貧血症状がない無症状のときから、貧血になる可能性を知ることもできます。しかし、フェリチンの検査はヘモグロビン値が低いという診断が出てから測定されることが多いため、セルフチェックをして自分自身で対策を取っていくことも大切です。

「鉄不足」で起こるさまざまな症状

では、鉄不足になるとどんな症状が現れるのでしょうか。前項の「鉄欠乏性貧血の症状」と併せて、次のような体の変化も起こりやすくなります。

・イライラしやすくなった、鬱っぽい
精神を安定させるセロトニンや、幸福感を得るドーパミンなどの脳内神経伝達物質は、鉄が不足していると必要なときに作られなくなります。理由なく鬱っぽくなったり、イライラしたり落ち込んだりするのも、鉄不足によるものかもしれません。

・冷え性
鉄不足になると体に酸素がスムーズに行き渡らなくなります。すると熱を生み出す力が弱くなり、手足が冷えて温まりにくくなります。

・アザができやすい
鉄不足だとコラーゲンも不足します。コラーゲンが不足すると、少しぶつかっただけでもアザができたり、打ち身になったりするので、いつのまにか覚えのないアザができているときは、鉄不足の疑いがあるかもしれません。

・シミができやすい
シミはメラニン色素が沈着してできますが、酵素によって分解されます。しかし、鉄不足になると酵素も不足して分解が進まず、シミができやすくなります。

そのほか、不眠やだるさ、下痢や便秘、風邪をひきやすくなったり、口内炎を繰り返したりなど、多くの不調の根本に鉄不足が関わっている可能性があります。しかし、これらの不調は突然現れるものではないので、症状に気づかないこともあります。「いつもの不調」「年のせい」とそのままにせず、鉄不足に陥る原因がないか、病気の有無や食生活の乱れなどをチェックしてみましょう。

貧血を改善するための食事

さまざまな不調の原因になる貧血を改善するために、そして予防のために、「鉄」を意識した食事をしてみましょう。

鉄分を摂取できる食事

食品に含まれる鉄には、体内での吸収率が高い「ヘム鉄」と、吸収率の低い「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は、肉や魚に多く含まれ、非ヘム鉄は、野菜や穀類に多く含まれています。吸収されやすいヘム鉄を意識しながら、非ヘム鉄の食品もバランスよく摂ることが重要です。

・ヘム鉄が多く含まれる食品
レバー、鶏もも肉、牛肉、かつお、まぐろなどの赤身の魚、めざしなど

・非ヘム鉄が多く含まれる食品
調整豆乳、納豆、大豆、小松菜、春菊、ほうれん草、ひじき、貝類(ヘム鉄も含みます)など

鉄分と一緒に摂りたい栄養素

吸収率が低いとされる非ヘム鉄は、「ビタミンC」と一緒に摂ると吸収率が上がります。ビタミンCは果物や緑黄色野菜などに多く含まれていますが、熱に弱く、調理方法には注意が必要です。食事に生野菜のサラダをつけるようにしたり、食後のデザートとしてフルーツを摂るのもいいでしょう。
ヘモグロビンなどの材料になるタンパク質も一緒に摂ると貧血の予防につながります。牛肉、レバー、赤身の魚、あさりなどは、鉄とタンパク質どちらも多く含まれているので、積極的に摂りたい食材です。また、鉄は胃酸が分泌されると吸収されやすくなるので、柑橘類や酢のものなどの酸っぱいものを食べて、胃酸の分泌を促すのもいいでしょう。

鉄の吸収を妨げる食品「タンニン」

コーヒーや紅茶、緑茶の苦み成分である「タンニン」は、食事中に摂取すると鉄の吸収を阻害します。食事中や食後すぐに飲む物は、タンニンを含まない水や麦茶、タンニンの少ない玄米茶やほうじ茶などがいいでしょう。

貧血対策サプリと注意点

1日の食事から鉄を摂取する量は、日本人の成人(20~49歳)で男性は7.5mg、月経のある女性は10.5mg(月経のない女性:6.5mg)と推奨されています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」より)。
例えば、鉄が多く含まれるとされる「かつお生50g」で1.0mg、「調整豆乳200g」で2.4㎎ほどという鉄量なので、推奨量を摂るのはなかなか大変です。貧血が気になるときは、鉄分が手軽に摂れるサプリを取り入れてみてはいかがでしょう。市販のサプリには、吸収されやすい「ヘム鉄」のサプリや、ビタミンなどが一緒に摂れるサプリもあります。鉄が不足しやすい生理のときだけ、サプリを取り入れるのもいいでしょう。

過剰に摂ると消化管や腸内環境にも負担をかけるため、用法・用量を守って取り入れてください。基礎疾患のある方は、かかりつけ医や薬剤師に相談してからサプリを選びましょう。

おわりに

生理のときのだるさや、なんとなく落ち込んでいる気分は、鉄を意識して取り入れると改善されるかもしれません。継続して鉄をしっかり摂ることが、貧血の改善には大切です。毎日のランチに調整豆乳とフルーツをプラスしたり、メインに赤みの魚を選ぶようにしたり、続けやすい方法で鉄不足から起こる貧血を予防していきましょう。

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