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2020年05月31日

カラダにいい良質な「油」を選ぼう!

はじめに

エゴマ油やアマニ油など、カラダにいいと聞いたことはあるけれど使い方がわからない。そんな人も多いのではないでしょうか?さらに最近では、ココナッツオイルやグレープシードオイルなど昔は見かけなかった健康オイルもスーパーで手に入るようになりました。身近になってきているものの、まだまだ知らないことの多い「油」について探っていきましょう。

油って健康にいいの?

ヒトが生きていくために必要となる三大栄養素「タンパク質」「糖質」「脂質」。そのうち油は「脂質」に分類されます。「脂質」と聞くとダイエットの大敵と考える人も多いでしょう。たしかに摂り過ぎれば肥満を招いて、生活習慣病の原因にもなってしまいます。

しかし、「脂質」は私たちが活動するためのエネルギー源であり、細胞膜やホルモンの材料となる重要な栄養素です。さらに「油」は肌に潤いを与えたり、油に溶けやすい脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を高める働きもあるなど、健康や美容に欠かせない存在と言えます。
ここで気をつけたいのが「油」の種類。油の主成分の脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」という2つに大きく分けられ、それぞれ分類される「油」によってメリット・デメリットがあります。

飽和脂肪酸とは…肉やバター、ラードなど

カラダの重要なエネルギー源になりますが、過剰に摂取するとLDL(悪玉)コレステロールが増してしまい、動脈硬化や心疾患、糖尿病、肥満などのリスクが高まると言われています。

不飽和脂肪酸とは…植物油や魚に含まれている油など

一価不飽和脂肪酸のオメガ9系、多価不飽和脂肪酸のオメガ6系・オメガ3系と分けることができ、それぞれ異なる働きがあります。オメガ9系に代表されるのが、オリーブオイル。オメガ6系にはべに花油、ゴマ油、グレープシードオイルなど。オメガ3系にはエゴマ油、アマニ油があります。
不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げ、生活習慣病に対する効果が期待されています。特にオメガ3系は、血液中の中性脂肪を減らして血液をサラサラにし、血中血栓ができるのを防ぎ、不整脈の発生や動脈硬化を防止する作用があると言われています。健康のために取り入れたいオメガ3系ですが、同じ多価不飽和脂肪酸のオメガ6系とともに体内で合成できない「必須脂肪酸」のため、食べ物からの摂取が必要です。

不飽和脂肪酸、特にオメガ3系は「健康にいい油」として挙げられます。その種類を知って上手に摂り入れましょう。

「必須脂肪酸」のオメガ3系・オメガ6系って?

それでは、食べ物からの摂取が必要な「必須脂肪酸」のオメガ3系・オメガ6系についてもっと知っていきましょう。

オメガ3系に分類される健康オイルの代表格「アマニ油」と「エゴマ油」

テレビでも取り上げられてスーパーでも豊富な種類が展開している「アマニ油」と「エゴマ油」。不飽和脂肪酸のα-リノレン酸を多く含みます。どちらも熱や光、空気で酸化しやすく高温での調理に向きません。ではどんな方法での摂取が向いているのでしょうか。

アマニ油

亜麻科植物の種子から抽出されたアマニ油は、生で摂取するのがおすすめです。匂いはほとんどありませんが、独特の苦みを感じる人もいます。スプーンなどでそのまま取るのもいいですが、ドレッシングとしてサラダにかけたり納豆に混ぜたりするとそのコクを楽しめます。
温かい料理でも直前にかければ問題ないので、みそ汁などに少しかけても。

エゴマ油

名前は似ているものの、ゴマとはまったく異なるシソ科の植物を原料にした油です。シソの香りや味はありません。
料理をまろやかにしてくれるものの特徴的な味はしないので、気軽に料理にかけてみましょう。アマニ油同様にドレッシングとして使ったり、出来上がった炒め物やパスタの仕上げにかけたりするのもおすすめです。

オメガ3系の摂取目安と注意点

オメガ3脂肪酸の1日に必要な量は、女性(18歳以上)が1.62~1.99g/日(妊婦1.48g/日、授乳婦1.81g/日)、男性(18歳以上)が1.92~2.23g/日( 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」より)。1日あたりの摂取目安量は、小さじ約1杯です。空気に触れると酸化が始まってしまうため、開封後はなるべく早く使い切りましょう。

オメガ6系の新星「グレープシードオイル」

その名の通り、ぶどうの種から抽出した「グレープシードオイル」は、オメガ6系に分類されます。豊富に含まれるビタミンEの抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守ります。ポリフェノールも豊富。
特徴的な味や香りはほとんどなく、サラダのドレッシングとしても、加熱調理に使用しても、あっさりと仕上がります。マリネなどにもおすすめです。

オメガ6系の古株「ゴマ油」

独特の香りで料理をぐっと美味しく仕上げてくれる「ゴマ油」。必須脂肪酸のリノール酸やオレイン酸が豊富に含まれるほか、ビタミンE、セサミン、セレンの抗酸化作用も得られます。焙煎したゴマから抽出した茶色がかったものが一般的ですが、ゴマを生のまま絞った無色透明な「白ゴマ油」もあります。
すっきりとした風味なので、食材の味を生かしたいときにおすすめです。炒め物やあえ物に使用するのはもちろん、天ぷらなどの揚げ物に使うとカラッと仕上がります。

オメガ6系を摂取する注意点

実は摂り過ぎるとLDL(悪玉)コレステロールだけでなく、HDL(善玉)コレステロールも減少させてしまうオメガ6系。べに花油、コーン油などもオメガ6系に分類され、外食や加工食品に多く含まれている場合もあるので、気がつかない内に過剰摂取してしまっていることもあります。カラダにいいからと必要以上に摂る必要はありません。

スーパーでも見かける「カラダにいい油」

ほかにも身近で手に入る油にはどんな効果があるのでしょう。

オリーブオイル

オメガ9系に分類される「オリーブオイル」は、オレイン酸が主成分。酸化に強いオレイン酸はコレステロール値上昇を防ぐだけではなく、肌の乾燥も防ぎ、活性酸素の生成を抑えてシミやシワなどの予防にも。ビタミンE、ビタミンA、ポリフェノールも含んでいます。
オリーブの実を絞ってろ過したままのものをエクストラバージンオリーブオイル、精製されたものをオリーブオイル、またはピュアオリーブオイルと言います。どちらも加熱調理に使用できますが、サラダの野菜の風味や他の調味料の香りを生かしたいのであればピュアを、オリーブの香りや苦みを生かしたいのであれば、エクストラというように使い分けると良いでしょう。特にエクストラバージンオリーブオイルは、加熱によってその独特の風味が落ちたり、特有の栄養が損なわれる場合もあるため、サラダやカルパッチョなどにかけて使うのがおすすめです。

ココナッツオイル

植物油ながら脂肪酸の半分以上が飽和脂肪酸の「ココナッツオイル」。飽和脂肪酸の中でもエネルギーとして燃焼されやすい「中鎖脂肪酸」が豊富で、体に蓄積されにくい油です。この中鎖脂肪酸を体内に取り込む際に作り出される「ケトン体」は、アルツハイマー型認知症の原因の一つである脳のエネルギー不足を補えると期待されています。さらにココナッツオイルに含まれている「ラウリン酸」は免疫系の働きを助けると言われています。アメリカ心臓協会の研究ではLDL(悪玉)コレステロールを増やすという報告もあるため、摂り過ぎないように気をつけましょう。
熱に強いので、サラダ油の代わりに加熱調理に取り入れるのもおすすめです。独特の風味を生かしてエスニック料理や、クッキーなどのお菓子作りに使ってみましょう。

アボカドオイル

アボカドの果実の実を搾って作られた「アボカドオイル」は、アボカド同様の栄養素を得られると注目の健康オイルです。オレイン酸が豊富で、抗酸化効果のあるビタミンEの含有量も、オリーブオイルの2倍含まれると言われています。
高温でも栄養価が損なわれないため、炒め物や揚げ物にも使えます。焦げにくいのも嬉しいところ。いつものサラダ油の代わりに取り入れてみてはいかがでしょう。

米油

米ぬかを原料にした「米油(米ぬか油)」は、玄米が持つ天然のビタミンやミネラルを豊富に含んでいる油です。がんや生活習慣病の原因の一つとされる活性酸素による細胞のダメージを防ぐ、抗酸化作用の強い「ガンマオリザノール」や「トコトリエノール」も多く含まれています。「ガンマオリザノール」には、ホルモンバランスを整える効果も期待されています。
悪玉コレステロール値の上昇を防ぐと言われているオレイン酸も豊富。油臭さが少なく熱にも強いため、揚げ油として取り入れるのもおすすめです。

また、オイルだけでなく、食材からも良質な油を摂取できます。次のような食材にも注目してみましょう。

・青魚(さば、さんまなど)、サーモン
体内で合成できない必須脂肪酸の「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を摂取できます。EPAは血液・血管を健康な状態に保ち、DHAは脳や神経組織の機能を活性化させると言われています。

・ナッツ類
ナッツ類の脂質は不飽和脂肪酸に分類されます。LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあると言われるオレイン酸が豊富です。

・アボカド
アボカドの脂質はナッツ類と同じ不飽和脂肪酸に分類され、オレイン酸が豊富。生活習慣病の予防にも良いとされるオメガ3系のα-リノレン酸も含んでいます。

おわりに

気になる油はありましたか?ご自身の健康や食生活にあった「カラダにいい油」に替えてみてはいかがでしょうか?ですが、たとえどんなに良質な油だったとしても、過剰摂取は禁物です。最適な摂取量を心掛けて上手に取り入れましょう。

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