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2019年01月18日

実は身近すぎる薬物中毒 ~カフェイン過剰摂取~

はじめに

仕事中に疲れて集中できなくなった時にコーヒーを飲む、なんて人は多くいるでしょう。
運転中にコーヒー、勉強するときにコーヒー…

コーヒーと言えばカフェインが含まれていることが知られていますが、カフェインを摂取すると頭がスッキリして集中できる、眠気が消えるといった現象が起きます。

適量を摂取していればいいのですが、慢性的に摂取するようになると依存が発生し、カフェインを摂取しないといられなくなります。ここ数年、カフェイン中毒で救急搬送される方が急増しているようです。日本中毒学会によると急性カフェイン中毒で救急搬送された患者は101人、そして3名が死亡しています。

もう少し頑張りたいときに、運転中の眠気を覚ましたいときに便利で頼りになるカフェイン。
その本当の効果や怖さについて知っておきましょう。

カフェインの効能

カフェインは天然物としてコーヒーやお茶に含まれていますが、抽出・精製して立派な医薬品として使用されています。

その効能として
・覚醒作用
・鎮痛作用
・疲労回復
などがもたらされます。

人は脳内のアデノシン受容体という箇所にアデノシンという物質が結合することで疲労を感じるのですが、カフェインはこの受容体に結合してアデノシンが結合するのを邪魔します。
これにより人は疲労を感じにくくなる、という仕組みです。

カフェインを多く含む食品

食品でカフェインというとコーヒーとお茶ですね。
カフェイン含有量としてはこの二つが突出して多いので、他の食品は気にしなくても大丈夫でしょう。

コーヒー・・・・・・・・・60mg/100mL(コーヒー豆10g、熱湯150mLで抽出)
インスタントコーヒー・・・57mg/100mL (インスタントコーヒー2g、熱湯140mL)
紅茶・・・・・・・・・・・30mg/100mL(茶5g、熱湯360mL、1.5~4分)
せん茶・・・・・・・・・・20mg/100mL (茶10g、90℃430mL、1分)

この淹れ方だと1回あたり200mLとして1日に「体に影響なく安全に」飲める量は
コーヒー・・・・・・・・3~4杯
インスタントコーヒー・・3~4杯
紅茶・・・・・・・・・・6~7杯
せん茶・・・・・・・・・10杯

といったところでしょうか。
仕事をしているときにコーヒーを5杯も6杯も飲んでいると、徐々にカフェイン依存に近づいていくことになってしまいます。

中毒量・致死量

では具体的にどれだけのカフェインを摂取すると危険なのか?

欧州食品安全機関(EFSA)によると、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量を以下のように提言しています。
・1日当たりカフェイン400mg未満
・1回あたりカフェイン200mg未満

これらを超える量のカフェインを漫然と摂取し続けると依存に陥りやすくなります。

急性中毒については一般成人の場合、1時間以内に6.5mg/kgの摂取で約半数が急性症状を発症、3時間以内に17mg/kgの摂取で全数が発症となっています。
体重60キロの成人のケースであれば1時間以内に390㎎で半数が、1020mgで全数が急性中毒になる計算です。

致死量は個人差が非常に大きく一概には言えないが、一般的には5000mg~10000mg(5g~10g)と言われています。

先ほどの基準(1杯200mL)とすると、コーヒーだと1時間以内に9杯でほぼ確実に急性中毒になり、40杯ほど飲むと致死量にかなり近づきますね。

かなりの量ですが、不可能な量ではないあたり依存形成くらいなら容易なことが伺えますね。

カフェイン中毒の症状・治療

カフェインを摂取すると疲労感が薄らぐ仕組みは先の通りですが、頻繁にカフェインが体に入ってくると人体の方がカフェインに対応し始めて効きにくくなります。
こうなってくると常にカフェインを摂取していないと眠気や疲労感、集中できない状態が続くという状況になります。
カフェイン摂取をやめて出るこれらの症状を離脱症状と言います。

そしてカフェインを摂取することでこれらの症状が消える。
また欲しくなる。飲んでも効かない。量が増える。そしてより強烈な離脱症状に襲われる。

立派な依存症になってしまいます。

依存状態になり離脱症状を回避するために1回の摂取量が増えていくと、やがて中毒症状が起こる量に至ります。

カフェインの過剰摂取による中毒症状は次のようなものです。

・吐き気、嘔吐
・手足のしびれ
・動悸
・悪寒
・意識消失
・心肺停止

死亡することは稀なケースではありますが、救急搬送して処置をしなければ非常に危険な状態に陥りやすいので十分注意が必要です。

次に治療ですが、これがなかなか厳しいものがあります。

依存状態からの脱却にはカフェインに慣れてしまった体が元に戻る必要がありますが、これは時間をかけて離脱症状に耐え続けるしかありません。
一般には数日~一週間ほどで離脱症状が出なくなると言われています。

大量服用による中毒の場合はカフェインを体内から取り除く以外には何もできません。
重篤な中毒の場合は横隔膜のけいれん等により呼吸できなくなるケースがあるため挿管して呼吸を確保します。
生命維持に必要な処置をし、あとは代謝されて体内から消えるのを待つしかありません。非常に危険な場合は人工透析によって血液中からカフェインを取り除く、ということも行われることがあります。

依存状態にしても急性中毒にしても楽に治せる方法がないのが特徴と言えます。

そして近年特に問題になっているエナジードリンクとカフェイン製剤について知っておきましょう。

エナジードリンク

各社から様々な商品が発売されているエナジードリンク、飲んだことがあるという人もいらっしゃるのではないでしょうか。

内容的にはいわゆる栄養ドリンクのようなものなのですが、栄養ドリンクが「医薬部外品」というもので成分の表示が義務付けられている(そして「滋養強壮などの効能効果を表示できる)のに対して、エナジードリンクは「清涼飲料水」に分類されるもので、実はカフェインの含有量について表示義務がありません。 栄養ドリンクには「タウリン」という成分が含まれているため医薬部外品に指定されていますが、エナジードリンクは清涼飲料水(炭酸飲料)として販売するために日本で販売している商品にはタウリンを配合せずアルギニンなどに置き換えています。

エナジードリンクの多くの商品は容器本体にカフェイン含有量を表示していますが、公式サイトなどでは積極的に明らかにしていない会社もあります。

調べた範囲では1本あたり140mgを超えるものもありコーヒーよりも多くのカフェインを含んでいるものがありましたが、思ったほど多くないというのが調べてみた感想です。

しかしコーヒーと違って大量に飲みやすいことからエナジードリンクの飲みすぎによるカフェイン中毒がたびたび発生しています。

飲むときには成分表示をよく確認し(100mLあたり〇〇mgと書かれているケースが多いです)、安全に飲める量を考えるようにしましょう。

カフェイン製剤(一般用医薬品)

眠気覚ましとしてカフェインを含んだ錠剤などもあり、こちらは医薬品です。
サプリメント感覚で使ってしまう方もいるようですが、きちんと調べてみるとエナジードリンクどころではない量のカフェインが含まれています。

代表的な製品のカフェイン含有量を確認してみましょう。

◆エスタロンモカ錠 24錠 [第3類医薬品] 1錠中100mg、1回1錠、1日3回まで (1日量300mgまで)

◆エスタロンモカ12 20錠 [第3類医薬品] 1錠中100mg、1回2錠、1日2回まで (1日量400mgまで)

◆カフェロップ 12粒(4粒×3包) [第3類医薬品] 1粒中41.7mg、1回4粒、1日3回まで (1日量500mgまで)

◆エスタロンモカ内服液 30mL×2本 [第3類医薬品] 1本中150mg、1回1本、1日1回まで (1日量150mgまで)

◆カフェクール500 12包 [第3類医薬品] 1包中167mg、1回1包、1日3回まで (1日量500mgまで)

結構な量を含んでいますね。
しかもエナジードリンクと違って一気に大量服用しやすいので、用法・用量をしっかり守らないとすぐにカフェイン中毒になってしまう可能性があります。(弊社では大量服用等防止の観点からこれらカフェイン製剤について購入数の制限を行っています)

眠気覚ましといっても中身はカフェイン、医薬品です。
医薬品ですから相応の効果が出る量が入っています。そのためしっかりと用法・用量が記載されています。

サプリメント感覚で安易に使用するのはやめましょう。

現在の規制状況

日本での医薬品、医薬部外品、清涼飲料水のカフェイン含有量についての規制ですが、次のようになっています。

・医薬品: 1回200mgまで、1日500mgまで
・医薬部外品: 50mgまで
・清涼飲料水: ???

そう、先に少し触れましたが清涼飲料水にはこれといった規制がないのです。
この理由ですが、例えばコーヒーは食品でありカフェインは勝手に入っているようなものですが、これを1日に何杯までと決めることができるか?というような問題です。ここを規制しようと思うとコーヒーという天然物を大麻やケシのように規制しなくてはいけなくなります。

エナジードリンクは清涼飲料水であり、医薬品のように明確な用法・用量がありません。 また、食品表示法による栄養成分の表示は義務なので書いてありますが、カフェインは栄養成分ではないため販売者の任意表示になっています。

医薬品や医薬部外品については上限が定められ、用法・用量を表示して守るように明記しないといけませんが、清涼飲料水にはそのような規制はないのです。

しかし医薬品の1回量に匹敵するカフェインを含む製品もあるため、各国では規制や注意喚起の動きが出てきています。 (たばこの規制に近い感じです)

2018年12月時点で日本の厚生労働省は具体的な規制の方針は打ち出していません。
また、注意喚起の義務も課していません。

カフェインは小児に対して特に影響が強いことが知られています。
自販機などでも手軽に買えてコーヒーのように苦くなくほぼジュース感覚で飲めてしまうエナジードリンクは、『小児がゴクゴクと飲んでしまう』ということも容易にあり得るという点でも特に注意が必要なのではないでしょうか。

おわりに

カフェインの力を借りて集中力を得たり眠気を覚ますのは「元気の前借り」などと言われます。
前借したら返さないと大変なことになり、実際に命に関わることになる例もあります。

一時しのぎのために単発で飲むのであれば問題ありません。
コーヒーだから、炭酸飲料だからと言って頻繁に飲み続けてしまうと簡単に依存状態・中毒に陥ってしまいます。

上手に付き合えばとても頼りになるカフェイン。
元気を前借したら、ため込む前に休んで返しましょう。

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