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2021年09月29日

女性や子どもの「円形脱毛症」 対処方法と上手な隠し方

はじめに

突然、髪が地肌から抜け落ち、その跡がコインのように丸く見える円形脱毛症。こちらは男性に多い加齢による脱毛症とは別物で、女性や幼い子どもでも発症します。むしろ患者は男性よりも女性の方がやや多く、さらに4分の1は乳幼児を含む15歳以下の子どもたちです。
年齢や性別に関係なく誰でも発症しうる可能性のある円形脱毛症の原因や対処法などを探ってみましょう。

円形脱毛症の主な症状と原因

ひとくちに円形脱毛症といっても、患者によって症状はさまざまで、大まかには以下のように分けられます。

・通常単発型…脱毛部分が1か所
・通常多発型…脱毛部分が複数
・全頭型…髪がすべて抜ける
・蛇行型…円形ではなく、髪が細長くうねるような形で抜ける
・汎発型…髪以外にも全身の毛が抜ける

これら5つに分類されています。よく皆さんが円形脱毛症と呼んでいるものは、通常単発型になります。
生え際が薄くなったり、全体の髪が徐々に抜けて薄くなる薄毛とは異なり、急に抜けて円形状に皮膚が露出したり、元気な髪が急速に抜けたりするのが、円形脱毛症の大きな特徴です。

円形脱毛症の発症の引き金となる原因は、はっきりとは解明されていません。しかし、近年の研究から自己免疫疾患が関係していると考えられています。

人の体には、「免疫」という体に入ってきた有害な物質を攻撃して排除する機能が備わっています。しかし、この免疫機能になんらかの異常が起きると、無害な自分自身の細胞や組織を異物だと勘違いして攻撃してしまう「自己免疫疾患」を引き起こします。これにより、毛根を異物だとみなして攻撃。毛根の細胞がダメージを受けて弱まり、毛髪が抜けてしまうというのです。

ほかにも遺伝、アトピー性疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、精神的ストレスなどの影響も要因とされています。円形脱毛症の主な原因は精神的ストレスと考える人も多いかもしれませんが、関連性は証明されていません。

また、出産後のホルモン分泌の変化も、円形脱毛症の原因になる可能性があると言われています。女性ホルモンの分泌量は、妊娠中に増加して出産後に急速に低下します。女性ホルモンには発毛を促進する作用がありますが、減少すると抜け毛につながるため、出産後に抜け毛が多くなるのです。毛周期との関係で産後2ヵ月目くらいから抜け始め、落ち着くまで数ヵ月から長い人で1年以上かかります。その産後脱毛の1つのケースとして円形脱毛症になる場合がありますが、一定の期間が過ぎると落ち着いてきます。

治療は皮膚科でじっくりと

通常、髪はシャンプー時を中心に、1日50~150本ほど抜けます。秋には抜け毛の本数が増え、なかには倍増というケースも見られますが、これは生理現象なので神経質になる必要はありません。対して円形脱毛症の場合は、季節に関係なく髪がどんどん抜けていき、やがて地肌が露出してしまいます。また、抜けた毛の多くは、毛根が細く尖っているのが特徴です。では、円形脱毛症だと気づいた時、どう対処したらいいのでしょうか。

早めに皮膚科や専門医を受診

円形脱毛症に気づいたら早めに病院やクリニックの受診を検討しましょう。皮膚疾患の一つと考えられるため、皮膚科が専門になります。髪と爪は構造が似ているため、円形脱毛症患者の爪には、横筋や小さな凹みが無数にできていることもままあります。こうした部分をチェックしてみて、「おかしいな」と感じたら皮膚科を受診することが大切です。
治療にはステロイド軟膏を使うことが多いようです。症状によっては、抗アレルギー薬やステロイドなどを内服薬として飲むほか、患部に直接注射をする場合もあります。また、自己免疫疾患の一つに甲状腺の病気があり、円形脱毛症を合併するケースが見られるため、甲状腺機能の検査を勧められる場合もあります。どんな治療を行うかは専門医とじっくり話し合って決めていくといいでしょう。

継続的に治療する

髪には生え替わるサイクルがあるため、治療してすぐには変化がないかもしれません。効果が出ないからと治療を止めずに、継続して続けることが大切です。脱毛箇所の大きさにもよりますが、最短でも3ヶ月から半年程度は治療に時間がかかると言われています。

ストレスを解消する

円形脱毛症とストレスの関係は解明されていませんが、過度なストレスにより「自律神経」のバランスが崩れると頭皮の血行が悪くなり、抜け毛が増える傾向にあります。ストレスを感じているようなら、ストレス発散方法を見つけてみましょう。適度な運動や没頭できる趣味はストレス発散につながります。
また、円形脱毛症を発症していること自体が精神的ストレスになっている場合もあります。医師に相談するとそのストレスを緩和できる場合もあるので、気になって仕事や勉強などに支障が出ている時は早めに病院やクリニックを受診しましょう。

生活習慣の改善

病院への受診とあわせて日々の生活習慣の改善も心がけたいですね。生活習慣が乱れると自律神経のバランスも崩れ、睡眠時間を取れず疲労回復が見込めないと心身ともにストレスがかかります。生活習慣が乱れていると感じる人は規則正しい生活を心がけましょう。

円形脱毛症は急速に進行することがあります。軽度の円形脱毛症は自然治癒するケースも珍しくないですが、適切な初期治療を受けることで多発性円形脱毛症や全頭円形脱毛症につながる可能性を減らせます。また、シャンプー時に髪が抜けることを気にして、シャンプーを控えると頭皮の状態が悪くなり、円形脱毛症の悪化にもつながりかねません。自己判断は避けて専門医に相談しましょう。

脱毛部分の上手な隠し方

突然、髪が抜けるとショックは大きいものです。落ち込むのは当然ですが、学校や仕事など外に出る機会をなかなか減らせない人も多いでしょう。脱毛部分を見られてしまう不安やストレスを少しでも軽減できるよう、ここでは上手に隠せる方法を紹介します。

自分の髪を使ったヘアアレンジ

まずは自分の髪を使ってヘアアレンジをしてみましょう。学校に通う子どもの場合も、校則に従ったヘアアレンジで対処したいところ。簡単にできる1本しばりは、脱毛箇所を隠せる高さを見つけて崩れないようにしっかり結びましょう。同じヘアスタイルで髪を引っ張っていると、負担がかかって抜けやすくなってしまうので、家に帰ったらおろしたり、休日はヘアバンドなどでカバーしたりしましょう。ヘアピンでアレンジするのもいいですね。頭頂付近を重点的に隠したい時は、お団子ヘアもいいでしょう。男性の場合は少し伸ばして、オールバックにしたり、ヘアカット時に目立たないような髪型にしてもらうと隠しやすいです。

スカーフやヘアバンド、大ぶりの布

スカーフなどは、大ぶりの品で頭全体をくるりと包み込むのが一般的ですが、アレンジ法はいろいろ。アフリカ人女性のファッションなどを参考に、カラフルな布地で装うのもいいでしょう。布製の幅が広いヘアバンドはさまざまなデザインが市販されているので、ファッションに合わせて取り入れられます。

ウィッグ

医療用のウィッグも種類が豊富にあります。子ども用のウィッグもあるので患部を気にすることなく学校に通う助けになりそうです。被るタイプやピンで留めるタイプがあります。男の子用もあるのでヘアーアレンジでカバーするのが難しい男の子も試してみるのもいいでしょう。

付け毛

脱毛部分の地肌に直接貼り付ける付け毛もあります。自然に髪に馴染ませられるので、仕事や学校などに行く時にも使えます。髪に少し長さがあるほうが馴染みやすいですよ。

ヘアファンデーション

脱毛部分が小さめの場合は、地肌に塗れるヘアファンデーションを試してみてもいいかもしれません。パフで髪色に近いファンデーションを地肌に直接のせて馴染ませます。化粧直し感覚で使えて、シャンプーで落とせます。

家族や親しい友人にきちんと隠れているかチェックしてもらえると自信を持って過ごせます。美容師さんに円形脱毛症を隠しやすい髪形を相談するのもいいでしょう。

おわりに

円形脱毛症は強い痛みやかゆみを伴わないため、シャンプー時の手触りでぎょっとしたり、美容室などで指摘されたりして、初めて脱毛に気づくケースも多いです。人によっては再発を繰り返すこともあり、精神的な負担は計り知れません。病院やクリニックを早めに受診して治療を行い、日々の生活では患部を上手にカバーしながら、焦らず症状と向き合いたいですね。

2021年9月29日更新
2018年9月25日作成

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    夏が終わり秋になり、過ごしやすくなるとともに日が短くなりだす頃。
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    これは決して気のせいなどではなく、季節性感情障害(SAD)という病気からくる症状です。
    季節の変わり目、特に日照時間が短くなる秋や冬に多く見られることから「季節性うつ」「冬季うつ」「ウインター・ブルー」など様々な呼ばれ方があります。(ここでは「季節性うつ病」で統一します)
    季節性うつ病はその名の通り季節によって症状が出る「周期性」と言えるものがあります。
    国や地域によって特徴がありますが、多くの国においては日照時間が短くなる10月~11月に発症し、日照時間が長くなる3月頃に回復する、といった具合で、これを毎年繰り返します。
    その症状の度合いによっては抗うつ剤の使用などの対応が必要なケースもありますが、基本的には生活習慣の注意によって症状の改善・軽減を図ることができます。
    しかし忙しい現代において生活習慣を変えるというのは簡単なことではありません。
    そこで季節性うつ病の治療の一環として、冷え性などの二次的な症状に漢方薬を使ってみるということから始めるのはいかがでしょうか。

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