お役立ち情報

2020年11月27日

繰り返すお腹の不調…過敏性腸症候群のツライ症状を改善する方法

はじめに

下痢や便秘が続いたり、おなかに不快感があるのに、検査をしても原因になるような病気は見つからない…それは「過敏性腸症候群」かもしれません。これは腸の病気というよりも、日常生活で不安や緊張を感じた時など、何らかのストレスで腸の働きが悪くなって起こることから、心身症の一つといわれています。ここでは、その症状や原因、対処法について解説します。

過敏性腸症候群の症状は腸の不調だけじゃない?頭痛や吐き気も

まずは「過敏性腸症候群」の症状を知っていきましょう。

便通の異常…下痢型・便秘型・下痢と便秘の混合型

・下痢型

電車内や長時間の会議中、授業中など、トイレに行きづらい状況やトイレのない状況下に置かれると、急激な腹痛&便意を伴い、柔らかい便や水のような便が排泄されるのが下痢型です。突然の便意に恐怖を感じ、電車に乗ったり通勤通学ができなくなったりします。また、突然便意をもよおすかも、という不安がさらに症状を悪化させてしまいます。下痢型は、便意が強いのに十分に排便できず、残便感が残ることも多いのが特徴です。

・便秘型

トイレに行ってはみたものの腹痛を伴ってなかなか排便できない、出てもコロコロしたウサギのフンのような便しか出てこないこともあるのが便秘型です。慢性的な便秘で、ストレスを感じるとより悪化する傾向にあります。

・混合型

下痢型と便秘型の両方の特徴を併せ持ちます。便が不安定に変動して、下痢と便秘を繰り返すのが混合型です。一般的に多いタイプとされています。

腹部の不快感

頻繁に腹痛に襲われたり、腹部膨満感があるのも過敏性腸症候群の症状です。おなかに張りを感じ、とても強い臭いのおならが出る「ガス型」という症状もあります。おならが頻繁に出てしまったり、おならを我慢できなかったりします。また、おなかがゴロゴロと鳴ることもあります。

腹部以外にあらわれる症状

・精神症状

不眠、不安感、抑うつ症状など

・全身の症状

頭痛、頭が重い、疲れやすい、めまい、背部痛、肩こりなど

・消化器症状

吐き気、嘔吐、げっぷが出やすい、食欲不振など

腹痛や腹部の違和感を伴う腸の病気と、過敏性腸症候群との違いは、検査を受けても異常が見つからない点です。過敏性腸症候群は、電車に乗れないなど生活に大きな支障をきたす症状がありながらも、血液検査や内視鏡検査をおこなっても異常が見つからないのです。また、ストレスを感じた時にその症状が出たり、悪化したりすることも大きな特徴です。腹痛や腹部の違和感の他に、頭痛や吐き気などの症状があらわれることもあります。不安がある場合は、ひとりで抱え込まず、早めに医師へ相談しましょう。

なぜ腸に不調があらわれるの?

さまざまなツライ症状がある過敏性腸症候群ですが、

・ストレス
・消化管の異常運動
・消化管の知覚過敏
・不規則な生活

などが原因に挙げられるものの、その確かな原因はまだわかっていません。しかし、腸に不調を引き起こす一番の原因は「ストレス」といわれています。

では、なぜストレスを感じると腸に不調が出るのでしょうか。

腸と脳は密接に関係しているといわれています。腸には脳と同じ神経が多くあり、自律神経でつながっているので、脳がストレスを感じると自律神経を通して、すぐに腸へ異常信号を送ります。その信号によって腸の動きがおかしくなり、下痢や便秘、おならなどの症状が出るとされています。
さらにこの動きが頻繁に繰り返されると、腸が刺激に過敏に反応する「知覚過敏」状態になってしまいます。それにより、弱い刺激でも腹痛が起こってしまうのです。

ストレスの多い現代社会において過敏性腸症候群は、誰にでも起こる可能性があります。

社会人では、仕事中、会議中、通勤中など。仕事が多忙で心身ともに疲れがたまっている時や睡眠不足、不規則な食生活によっても発症します。学生では授業中、テスト中、登校中などに、過敏性腸症候群の症状があらわれやすいようです。強いプレッシャーを感じる面接中なども挙げられます。学校のトイレには入りにくいと感じる学生には、「授業中に突然便意に襲われたらどうしよう」というような不安も原因になるのです。

どうすれば改善できる?症状別の対処法

社会人生活、学校生活において、不安要素は簡単に払拭できるものばかりではありません。通勤時の満員電車や仕事量のバランスなど、個人では防ぎようがないことも多いですよね。テストや面接なども避けられることではありません。だからこそ、自らが心地いいと感じる生活の質を保ち、ストレスに打ち勝つ力を身につける必要があります。

ストレス対策として

日常生活でリラックスできる工夫をしましょう。職場や学校から家に帰ったら、読書やテレビ、好きな音楽を楽しんだり、入浴時は湯船に長めに浸かったり。散歩や軽いスポーツで気分転換をするのもいいでしょう。たとえ短い時間でも、心と体を息抜きさせることが大事です。

生活リズムを整える

毎朝決まった時間に起床し、なるべく同じ時間に食事をとるなど、自分の体にあった生活のリズムを作ることも重要です。食生活の乱れにも気をつけましょう。規則正しく三食摂り、暴飲暴食を避け胃に負担をかけないようにしましょう。また、アルコールなどの症状を悪化させる食品を控えることも大切です。

出勤・登校前にトイレの時間を…

家での排便時間をたっぷり取れるようにすることが、不安の改善につながります。便意がなくても、朝食後は必ずトイレに行くと良いとされています。


それでも「過敏性腸症候群」になってしまったら、まずは腸の不調を整えましょう。
ここでは、タイプ別の対処法を紹介します。

下痢型

冷水や冷たい食べ物はもちろん、脂質を多く含む食事も避けましょう。香辛料の多い食べ物やアルコールも腸に刺激を与え、腹痛が起きたり便通に変化を生じさせる場合があります。おなかに良いと思われている牛乳や乳製品も、過敏性腸症候群から起こる下痢型の人の場合は、おなかをゆるくさせてしまうこともあるので注意しましょう。水溶性食物繊維は、便を適度な硬さにしてくれるのでおすすめです。わかめ、もずくなどの海藻類や納豆などを摂るようしましょう。

突然の下痢の不安…その解消方法は?

公共交通機関を使っての通勤や通学なら時間に少し余裕をもって、途中下車しても大丈夫なスケジュールを組みましょう。通勤・通学ルートのトイレの場所を把握しておけばより安心です。自分に合った下痢止めなどを常備しておくのもいいでしょう。便意への不安がストレスになる場合もあるので、電車内などでは好きな音楽を聞いたり、気分転換になる本を読んだりするのもおすすめです。

便秘型

一般的に便秘の解消というと食物繊維を思い浮かべますが、食物繊維にはゴボウやキノコ、豆類など水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と、里いもなどの芋類や、わかめ、納豆、キャベツや大根などの野菜類に多く含まれる水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があり、便秘の種類によっては摂らないほうが良い食物繊維もあります。
過敏性腸症候群の場合は、過度の緊張によって大腸が痙攣して便通が障害されてしまう痙攣性便秘の可能性も考えられるため、大腸の負担になる不溶性食物繊維ではなく、水溶性食物繊維を摂るといいでしょう。

水分をしっかり摂ることも便秘の改善につながります。起床後に1杯の白湯をゆっくり飲むのもおすすめです。家だけではなく、会社や学校などの外出先でもゆっくり入れるトイレを見つけておくことも安心材料になります。

混合型

下痢型、便秘型の対処法を便の状態に合わせて参考にしましょう。胃や腸の負担になりやすい脂肪分や肉類が中心のメニューを避けて、水溶性食物繊維が多く含まれる野菜や海藻類が含まれる食事がおすすめです。わかめと芋類を入れたスープなどを日々の食事に取り入れて、自然なお通じの習慣を身につけましょう。

ガス型

豆類や発酵しやすい食材の摂取をなるべく減らすことを心がけましょう。

これらのことを心がけても効果があらわれない場合は、下痢や便秘を改善する漢方薬や整腸剤などを使用したり、胃腸科や心療内科に相談することをおすすめします。

吐き気を感じたらどうすればいい?

過敏性腸症候群の症状が「吐き気」という形であらわれる人もいます。吐き気を抑えたい時は、次のような方法を試してみましょう。

・リラックスしましょう
おなかに負担のない姿勢でイスに座り、ゆっくりと深呼吸をします。ストレスになるような思考から離れて、楽しいことや安らぐ場所を思い浮かべましょう。

・窓を開けて空気を入れ替えて
窓が開けられる場所なら、窓を開けて新鮮な空気を吸いましょう。電車内などにいる場合、時間が許すならば一度降りて外の空気を吸うのもいいでしょう。

おわりに

ストレスの多い現代、もし過敏性腸症候群の症状があらわれてしまっても、その対処法を知っていることで不安の解消につながります。下痢や吐き気、おならなどの不安がストレスの原因にならないように、リラックスして改善をめざしていきましょう。

2020年11月27日更新
2017年2月24日作成

あわせて読まれている記事

  • 不眠・イライラ

    不眠・イライラ

    昼夜のリズムが崩れやすかったり精神的ストレスなどにより、不眠や神経症を抱えている人は少なくありません。睡眠補助剤としてドリエルや漢方薬などが発売されていますが、これらは環境の変化やストレスに一時的に対応するものです。入浴でしっかり体を温めるなど、生活習慣の改善も並行して実施しましょう。

  • 季節性うつ病

    季節性うつ病

    夏が終わり秋になり、過ごしやすくなるとともに日が短くなりだす頃。
    なんとなく鬱々として気分が晴れない、落ち込むような感覚になるという方がいます。
    これは決して気のせいなどではなく、季節性感情障害(SAD)という病気からくる症状です。
    季節の変わり目、特に日照時間が短くなる秋や冬に多く見られることから「季節性うつ」「冬季うつ」「ウインター・ブルー」など様々な呼ばれ方があります。(ここでは「季節性うつ病」で統一します)
    季節性うつ病はその名の通り季節によって症状が出る「周期性」と言えるものがあります。
    国や地域によって特徴がありますが、多くの国においては日照時間が短くなる10月~11月に発症し、日照時間が長くなる3月頃に回復する、といった具合で、これを毎年繰り返します。
    その症状の度合いによっては抗うつ剤の使用などの対応が必要なケースもありますが、基本的には生活習慣の注意によって症状の改善・軽減を図ることができます。
    しかし忙しい現代において生活習慣を変えるというのは簡単なことではありません。
    そこで季節性うつ病の治療の一環として、冷え性などの二次的な症状に漢方薬を使ってみるということから始めるのはいかがでしょうか。

  • タバコをやめたい

    タバコをやめたい

    パッチとガムはタバコの代わりにニコチンを摂取することにより禁断症状を抑えて禁煙を補助します。禁煙開始時の1日のタバコの本数が少ない場合はガムのほうが禁煙に成功しやすいと言われています。ニコチンを補充するため、ガムやパッチを使用している間はタバコを吸うことはできません。
    市販のニコチン製剤を使う以外にも、健康保険の適用を受けることができる禁煙外来を使うこともできます。こちらは医師の指導・管理の下で内服薬なども使用してニコチン依存症を治療します。禁煙外来による治療はパッチやガムなどのニコチン置換療法よりも禁煙成功率が高く、どうしても禁煙に成功しない場合は医療機関で相談するようにしましょう。
    また、タバコを吸うことでかなりのビタミンCが破壊され、皮ふのシミやシワが増え肌色を悪くします。

  • 健康診断の数値が気になる

    健康診断の数値が気になる

    現在の身体の状態を把握し、生活習慣病の予防や早期発見のために、毎年の健康診断は欠かせません。
    生活習慣病は病状が進行して初めて症状がでるものがほとんどですので、定期的な検査によって自身の身体変化を認識し、予防する必要があります。早期であれば、偏った食事や運動不足などのライフスタイルを改善することで、病状が軽快する場合があります。
    検査数値をそのままにし、病状の悪化によって医師による治療が必要になってしまう前に、自分自身で気になる数値をコントロールしましょう。

  • 入浴剤を選びたい

    入浴剤を選びたい

    発汗作用のある入浴剤やリラクゼーション効果の高いアロマオイル配合タイプなど、心身ともに1日の疲れにおすすめの入浴剤をチョイス!

    長時間入浴すると皮脂がはがれ落ちて皮膚のバリア機能が低下してしまいます。ぬるめのお湯で10~20分程度の入浴がおすすめです。

  • 野菜不足が気になる

    野菜不足が気になる

    厚生労働省が提唱する「健康日本21」では、野菜は1日に350g以上とることを理想としています。野菜を摂るように意識していても、目標量を摂取することは難しく、慢性的に野菜不足の方が増えているのが現状です。野菜が足りていないと、ビタミンやミネラル、食物繊維の不足により体調不良や免疫力低下、生活習慣病を招くことがあります。この特集では栄養不足を補う、栄養素が豊富な健康食品を紹介します。足りない栄養素はこれらによって多少補うことが可能ですが、野菜を摂らなくていいわけではありません。できるだけ普段の食事から野菜の栄養素、食物繊維などを摂れるように野菜中心の生活を心がけましょう。

  • 血糖値が気になる

    血糖値が気になる

    糖質はブトウ糖としてカラダ中へ運ばれます。健康な方でも食後には血糖値は上がり、食後2時間程度で血糖値は正常値に下がります。糖尿病になる前の段階の方(糖尿病予備軍・隠れ糖尿病)は、食後上昇した血糖値が下がりにくくなります。このような高血糖の状態が続くことで糖尿病や、動脈硬化を引き起こす危険もありますので、食後の血糖上昇を緩やかにすることが大切です。

[関連カテゴリー]

ページトップへ