2023年01月20日
日常生活には、沸騰したお湯や熱くなった暖房器具など、やけどの危険性が多く潜んでいます。もし、やけどを負ってしまったら、適切に処置することが大切です。では、どのように対処すれば良いのか、やけどの症状や自宅でできる応急手当の方法などをご説明します。
やけどは、熱や化学物質が皮膚などの体表面の一部に接触することで起こります。そのため、表層の皮膚がもっとも多くの損傷を受けます。しかし、重症の場合には体表面だけでなく、脂肪や筋肉、骨など体の深部の構造にまで損傷が達することもあります。
重症度はⅠ度~Ⅲ度までに分けられ、それぞれ対処法が異なります。
Ⅰ度は表皮のみの損傷です。皮膚が赤くなったり、ヒリヒリとした灼熱感や痛みを感じます。一時的に色素沈着することもありますが、数日で自然に治り、やけど痕は残りません。流水でしっかり冷やすといった応急手当をした後は、治療は特に必要ありませんが、水ぶくれができたときはⅡ度に分類されるため、病院を受診して軟膏などによる治療を行います。軽いやけどだと思っても、経過観察が大事です。日焼けはⅠ度のやけどに含まれます。
水ぶくれを伴うⅡ度熱傷は、やけどの深度ごとに2つに分類されています。
【浅達性Ⅱ度熱傷】
表皮基底層(真皮上層)までの損傷を浅達性Ⅱ度熱傷といいます。症状としては赤みと水ぶくれ、痛みがみられます。十分に冷やしたら水ぶくれをつぶさないように保護して、早いタイミングで医師の診察を受けるようにしましょう。水ぶくれが破れてしまった場合、一時的に傷ができますが、医師による治療を受けると通常1~2週間ほどで治り、やけど痕はあまり残ることなく治癒します。
※ただし、やけど後のケアによっては、やけど痕が残る場合があります。
【深達性Ⅱ度熱傷】
真皮深層までの損傷した深いやけどを深達性Ⅱ度熱傷に分類されます。浅達性同様水ぶくれができますが、知覚神経も損傷しているため痛みは軽度です。赤みが出たり、紫色から白色になったりします。適切な治療を受けても治癒までには1か月以上かかり、傷あとやひきつれを起こすことがあります。冷やした後は清潔な布で保護して、すぐに医師の診察を受けましょう。
Ⅲ度のやけどは皮下組織(皮膚の深いところ)までの損傷です。損傷した表面は白く乾燥し、ひどいときは焦げて黒色や褐色になっています。水ぶくれはできません。痛みを感じる神経も焼け死んでいるので、痛みも感じにくいです。肌の表面が壊死している場合もあります。Ⅲ度の場合は自然治癒が難しいため、範囲が広いときは入院をして植皮術などの外科的治療が必要になります。形成外科など専門の病院にかかりましょう。
やけどを負った場合は、まず流水で15~30分ほどしっかり冷却することが大切です。このとき、患部に直接流水を当てるのではなく、少し上の部分に当てるようにします。痛みが治まるまで冷やすのが目安です。冷やすことでやけどの進行を抑え、痛みも和らげることができます。
服の下をやけどしたときは脱がせないことが鉄則です。脱がすときに水ぶくれがやぶれてしまったり、皮膚が服に付いてはがれてしまったり、痛みが強くなることがあります。治癒にかかる時間が長引いてしまいますので、脱がさず服の上からしっかり冷やしましょう。
また、やけどの深さや症状によっては、早めに医師の診察を受けましょう。
1:手や足のやけど
手足をやけどしてしまった場合は、蛇口から水道水を出し続けた状態で冷やします。流水がかけられない場合は、清潔な水を入れたビニール袋や容器などに患部を入れる方法もあります。
2:顔や頭のやけど
顔や頭のやけどは、シャワーなどで水をかけ続けて冷やします。顔など流水がかけられない部分は、氷水で冷やしたタオルをこまめに変えながら当てておきます。
3:瞼や耳のやけど
瞼や耳のやけどは、保冷剤や氷を包んだタオルをこまめに替えながら冷やします。氷や氷のうを直接患部に当てると、皮膚が冷えすぎて凍傷を起こすことがあるので注意しましょう。
4:広範囲のやけど
やけどした部分を水をためた浴槽の中につけたり、水に浸したタオルなどで全身を包むようにして冷やします。服は簡単に脱がせるものは脱がして、やけどした部位に触れている部分は脱がさずに冷やします。低体温症になるおそれがあるので、体温が下がり過ぎないように様子を見ながら行ってください。特に子どもは体温が低下しやすいため、冷やし過ぎないように気をつけましょう。
やけどを受けた範囲が広い場合、これらはあくまで緊急の対応です。なるべく早めに病院で診療するようにしましょう。
指輪や時計などの近くをやけどしたときは、腫れて外せなくなってしまう可能性があるため、すぐに外しましょう。
やけどを負った皮膚は細菌感染しやすくなっています。水ぶくれがあることで細菌の侵入を防いでくれていますので、水ぶくれができたときはつぶさないようにしてください。病院などに行くと水ぶくれをつぶして中身を出す治療をするケースもありますが、自分で破ると細菌が入って傷が悪化する可能性が高いです。
ガーゼや保護テープなど、はがすときに水ぶくれの表面にくっついて破けないようなもので保護をして早めに病院を受診しましょう。もし自然にやぶれてしまった場合は、皮膚をはがさずにガーゼなどでカバーして、速やかに医師に相談してください。
自己判断で軟膏を塗ったり、やぶれたところに消毒液を塗布したりしないようにしましょう。
水ぶくれのできていない軽度のやけどは、応急手当後、自宅でケアすることも可能です。ここではケアの方法を紹介します。
※やけどは軽症に見えて深い場合もあります。深さを適切に判断して治療することが大切ですので、判断に迷ったときには医師に相談しましょう。
感染症を予防する抗生物質軟膏を塗るという方法もありますが、軽度の場合はワセリンで保護するのもいいでしょう。ワセリンはやけどによってバリア機能を失った真皮を守ってくれます。
Ⅰ度のやけどに分類される日焼けも、冷やしたタオルなどを使って患部を冷やすことが大切です。炎症がひどかったり、範囲が広い場合には病院にかかることも必要になります。この場合、脱水症状を引き起こしやすい状態なので、水分を多めに摂取するようにしましょう。
日焼けした皮膚は数日のうちに自然治癒しますが、完全に元の状態に戻るには数週間かかります。炎症が治まった後も皮膚は乾燥した状態になっているので、化粧水や乳液で水分と油分を補うようにしましょう。
軽いやけどでも痕が気になるときは、「ヘパリン類似物質」の入った軟膏を塗るのもいいでしょう。
ヘパリン類似物質は皮膚のターンオーバーを促し、時間をかけて肌をもとの状態へと戻してくれます。傷あと・やけど痕用のヘパリン類似物質が含まれたケア用品もあります。
やけどを負った場合、傷口から浸出液が出ることでタンパク質と水分が漏出します。重症の場合は脱水や低タンパク血症になることもあるので、水分やタンパク質を補うような食生活を心がけましょう。
また、傷の治りを促進するとされるビタミンやミネラルなども積極的に摂ることで、感染症の予防に役立てることができます。
これらの栄養素は食事で補えればもちろんいいですが、なかなかバランスよく取り入れるのが難しい時は、補助栄養として サプリメントなどから補給するのもいいでしょう。
やけどは受傷面積と深さで治療方法が異なります。さらに年齢で違ってきます。
受傷面積が広ければ広いほど全体に影響を与え、Ⅰ度のやけどでも体の表面積の30%以上損傷を受ければ重症になります。深く損傷している重症の場合、神経が壊死して痛みを感じないことも。痛みがなく白色に変色している場合はⅢ度の重症なやけどに分類されますので、すみやかに病院を受診しましょう。
また、やけどを負って損傷した皮膚の体表面は、微生物の侵入を防ぐバリア機能が働かなくなるので、感染症を引き起こしやすい状態です。細菌感染を起こすと浅いやけどでも重症になってしまい、治癒までに時間もかかります。Ⅱ度以上のやけどは早めに医師による治療を受けるようにしましょう。
年齢によってもケアの方法は変わります。2歳未満の乳幼児やお年寄りなどは皮膚が薄く、軽いやけどでも深くまで傷ついている可能性もあります。電気あんかやホットカーペットなどに、低めの温度であっても長時間触れていたことで起こる低温やけどにも注意が必要です。
火を使って料理をしたり、暖房器具をつけたり、やけどの原因になる熱源は家庭の中にたくさんあります。やけどをしないように注意することはもちろんですが、やけどを負ってしまったときにあわてず対処できるように応急手当の方法を知っておくことも大切です。
やけどを負ってしまったら落ち着いて処理するようにしましょう。明らかに重症な場合や症状を上手く説明できない乳幼児やお年寄りの場合は速やかに医師の診断を受けるようにしてください。
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2023年1月20日更新
2017年8月8日更新
2014年3月1日作成
やけど・日焼け治療
やけどにはI度~III度までの段階がありますが、II度以上のやけどでは医師による処置や治療が必要になります。
一般的な日焼けは1度のやけどに分類され、きちんと対応しないと広範囲の軽いやけどになってしまいます。
しかしやけどの重症度は深さと広さで決まるので、日焼けであっても全身に及ぶようなものは広い範囲で皮膚機能が低下するため注意が必要です。
やけどの処置はまず冷やすのが鉄則で、最低でも5分以上は流水で冷やしましょう。氷を使う場合は直接当たらないようにタオルで包むなど工夫が必要です。
この場合も広範囲の日焼けは注意が必要で、全身を流水で冷やすとなると体温の低下などにもつながるため、やはり注意が必要です。
やけどの重症度の見分け方ですが、ピリピリとした痛みが強く続き、水膨れを伴うケースはII度と考えましょう。
II度やけどにはさらに浅達性と深達性があり、深達性は治るのに時間がかかります。
この浅達性と深達性は見分けるのが非常に難しいのですが、治癒後の痕の残り方などが大きく違ってきます。
やけどをした場合は流水で冷やす初期対応を行いつつ、水ぶくれができるなどII度以上のやけどが疑われる場合には早めに医療機関を受診し、早期の治療を始めるようにしましょう。
市販の薬などで対応できるのは軽度のやけどであるI度のものくらいに考え、少しでも不安があるようであれば医師に診てもらうくらいの方が安全です。
ハンドクリームを選びたい
気温が下がって乾燥が進むと気になってくる「かゆみ」や「赤み」「ひび割れ」などの手荒れ。
もともと手には皮脂を分泌する皮脂腺がほとんどなく、カラダの他の部分に比べると肌表面の角質層がダメージを受けやすい状態になっています。特に冬場は空気が乾燥している事に加え、皮膚の新陳代謝が低下しているため、さらにバリア機能が弱くなっています。また、水仕事や過剰な手洗いなどがバリア機能を奪う原因となることもあります。
ハンドクリームは皮脂分を補い手を保護したり、炎症やかゆみを抑えるものもありますので、適切に使うことで症状を予防・改善できます。しっかりとしたハンドケアをおこない、美しい手を目指しましょう。
乾燥肌
乾燥肌といえば秋冬の悩みでしたが、最近は1年を通じて乾燥肌に悩む方が増えています。乾燥肌は、皮脂分泌量の低下により角質の水分含有量が低下している状態です。皮ふの水分は、発汗、皮ふや呼気からの蒸発(不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といいます)で減少し、体の内側または大気中の水分により供給されます。皮ふの保湿は皮脂、天然保湿因子(NMF)によって保たれています。ところがさまざまな要因で保湿バランスが崩れ、わずかな刺激で様々な症状を招きます。
水虫
水虫と言えば革靴を長時間履く機会が多い男性に多いものと見られていましたが、白癬菌そのものは自然界にごく普通に存在し、通気性の悪い環境にあれば性別に関係なく感染・発症します。感染した皮ふと接触することでも感染が広がるので、家族に水虫の方がいる場合は足ふきマットなどは共用しないようにしましょう。外用薬などで症状が治まってきても白癬菌は角質内にとどまっているので、皮ふが完全に入れ替わるまで1カ月以上は根気よく治療を続ける必要があります。
湿疹・虫刺され・あせも
湿疹や皮膚炎に伴う痒みの薬には非ステロイドのかゆみ止め、ステロイドのかゆみ止め、ステロイドと化のう止めの配合剤に大別されます。傷やジュクジュクしている部分にはステロイド単独では使用できないため注意が必要です。基本的には対症療法であり、金属との接触やストレスなどが原因であればその原因を特定して治療する必要があります。アトピー性皮膚炎や抗真菌薬が必要な湿疹もあるので、なかなか治らない場合は医療機関で相談しましょう。あせもは原因さえ知ってしまえば予防するのはそんなに難しくありません。かゆみ止めの薬といっても様々です。なんとなく適当に使うのではなく、原因や症状に合わせて適切なものを選びましょう。
肌荒れ・ニキビ
ニキビは乾いた皮脂や角質が毛穴にたまることで発生し、アクネ菌が増殖することで赤くなります。
治療や予防にはアクネ菌に対する殺菌や、皮脂を除去するなど毛穴を清潔に保つことが効果的です。
また、発生の原因は衛生面だけでなく、睡眠不足や過労、便秘などにより肌環境が悪化することで発生しやすくなるとも言われています。
清潔にするだけでなく、ビタミン剤や漢方薬なども併用することで治療効果・予防効果の上昇が期待できます。
しっかり洗って予防、できてしまったら塗り薬でケア、肌荒れ予防にはビタミンや漢方の飲み薬。といった具合に、組み合わせてしっかりとケアしましょう。
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