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長引くせきは風邪じゃない?「マイコプラズマ肺炎」にご用心

長引くせきは風邪じゃない?「マイコプラズマ肺炎」にご用心

はじめに

気温が下がる秋冬は、何かと体調を崩しやすいものです。さらに、例えば室内外の気温差や乾燥により、せきに苦しむことが多くなる季節でもあります。このせきが長く続く場合、風邪より「マイコプラズマ感染症」を疑ってもいいかもしれません。

こちらは35歳未満の若い世代に多い呼吸器疾患で、例年、その多くを占めるのは5~15歳未満となっています。

とはいえ、どんな年齢層でもかかり得る、ごく身近な疾患なのです。

細菌が引き起こす急性の呼吸器疾患

その名の通り、マイコプラズマという細菌がもたらす疾患がマイコプラズマ感染症です。症状によって咽頭炎、気管支炎、肺炎などに分けられ、いちばん症状が重いマイコプラズマ肺炎でも、比較的軽症で治まることが多いようです。

ただ、大人を中心に重症化する場合もあり、胸に水が溜まる「胸水貯留」や、呼吸不全などを起こすことがあります。子供から大人に移る例も多いので、食器やタオルの使い回しは避けるなど、感染症予防の基本を押さえておくことが大切です。

ちなみにマイコプラズマ肺炎は、自治体ごとに流行状況をチェックしています(例:東京都感染症情報センター http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/mycoplasma/)。

以前は4年に1度の周期で流行したため、「オリンピック熱」という呼称もありました。現在ではこの規則性は崩れていますが、数年おきに流行する傾向は残っています。また、発生時期は通年で、秋冬だけの病気ではないのです。

乾いたせきが長く続くのが特徴

風邪と肺炎は症状がよく似ています。素人には区別がつきませんが、マイコプラズマ肺炎のポイントは長引くせき。1週間以上も激しくせき込むようなら、医療機関を受診した方がいいでしょう。

マイコプラズマの潜伏期間は長く、およそ2~3週間。そのため、気づかずに感染し集団生活下では、流行が数ヵ月も続くことがあります。

症状

初期症状は発熱や倦怠感、頭痛、咽頭痛など。その3~5日後から痰を伴わない乾いたせきが出てくるのが一般的です。

せきは熱が下がった後も治まらず、通常3~4週間は取れません。特に夜間や早朝に激しくせき込むことが多く、睡眠不足を招いてしまうのも難点です。

ただ、症状は個人差が大きく、気管支炎で終わる人もいれば、肺炎を起こしてしまう人もいます。また、喘息などの呼吸器系の持病がある人も、重症化しやすいといえるでしょう。

ほかにも吐き気や下痢、中耳炎や鼓膜炎、筋肉痛、発疹などが出ることもあります。

さらにまれなケースながら、髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎などを併発することがあり、こうした場合は直ちに入院加療が必要になります。

診断

綿棒でのどの粘膜をぬぐって検体を採取し、迅速抗原キットで反応を確かめるのが一般的です。血液検査や胸部レントゲン検査を行うこともあります。

治療

マイコプラズマの抗生物質を使いますが、近年は効かない耐性菌も増えているので要注意。経過を見ながら治療を進め、必要に応じて薬を変えることもあります。

登校・登園の再開時期

マイコプラズマ肺炎はインフルエンザなどのように、学校保健安全法で出席停止の日数が決められているわけではありません。登校・登園再開の目安は「発熱や激しいせきが治まっていること」です。幼稚園や保育園によっては登園届けが必要な場合もありますので確認しておくと良いでしょう。また、症状や拡大の範囲によっては医師が感染の恐れがないと認めるまで出席できないこともあります。

せきエチケットの徹底で蔓延を阻止

マイコプラズマ肺炎に対するワクチンはなく、免疫も一生続くものではありません。しかもせきによる飛沫などで広がるため、地道なうがい・手洗いで予防に努めることがいちばんです。

また、患者は公共の場ではマスクを着用し、せき込むときに手で口元を押さえるのはNGです。これをやってしまうと病原菌が手に付着し、ドアノブやスイッチなどに菌を塗り広げることになりかねません。マスクがなければハンカチやティッシュ、もしくは上着の内側や袖で口元を覆ってせきをするのが鉄則です。

こうしたせきエチケットの徹底が、病原菌の拡散を防ぐことにつながるのです。

おわりに

マイコプラズマ肺炎は「歩く肺炎(walking pneumonia)」とも呼ばれています。これは症状がほかの肺炎よりは軽めで、体調不良なりに外出も可能なケースが多いためです。その分、病原菌を撒き散らす機会も増えてしまうので、くれぐれも無理をせず、マスク着用もお忘れなく。

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